プロボクシングWBC世界バンタム級1位の那須川天心(27=帝拳)が“超次元ボクシング”で時代を変える。同級2位の元WBA…

プロボクシングWBC世界バンタム級1位の那須川天心(27=帝拳)が“超次元ボクシング”で時代を変える。同級2位の元WBA世界同級王者井上拓真(29=大橋)との同級王座決定戦(24日、トヨタアリーナ東京)を控えた21日、都内で会見に臨み、水の流れにも似た「次元を超えた丸い戦い方」でデビュー8戦目での王座獲得を宣言した。

   ◇   ◇   ◇

言葉と表情にはすでに王者の風格があった。「どんな局面でも、どんな展開になっても、いつ何が起きてもいい状態。最初から最後までクライマックスのつもりでいきたい。楽しんでほしい」。初の世界戦とは思えないほど那須川は落ち着いていた。

裏付けはデビュー2年7カ月でついに到達した“達人”の境地。「イメージで言うと丸いボクシングができるようになった。それが一番の成長。固体はつかめるけど水はつかめないでしょう。そういう感じ。次元を超えた超次元ボクシングをやりたい。“こういう戦い方、見方もある”と」。

業界の予想はほぼ互角。世界戦を6度経験した井上に分があるとの声も根強いが「“何年やってきた”よりもかけてきた熱量が重要。僕は毎日2時間の練習ですが毎回“精神と時の部屋”(※)に入っている。100年以上やっているつもり」と意に介していない。

体重は「朝起きて1・3キロ(オーバー)くらい。全然動ける」と体の仕上がりも万全。「僕が勝てば時代を変えることができる。ベルトを取ってからがスタート。そこから無限の可能性が広がる。伝統を大事にしながら新しいものをつくっていくのがテーマ」と、ベルトを巻いた自分に期待していた。【首藤正徳】

※「精神と時の部屋」 人気アニメ『ドラゴンボール』に登場する、時間の流れが360倍の速さで経過する神様の神殿内部の特殊な部屋。1日で1年分の修行ができるといわれる。

○…21年世界選手権で日本人初の金メダルを獲得したWBO世界バンタム級14位坪井智也(帝拳)が元世界王者との対戦に高揚感を漂わせた。24日に元WBC世界スーパーフライ級王者カルロス・クアドラス(メキシコ)との同級10回戦を控え「テクニックもスピードもすごいある選手。全ラウンド通し、全部圧倒したい。手合わせすることにすごく楽しみ。ワクワクしている気分」と口にした。

○…IBF世界フェザー級5位中野幹士(帝拳)が来年の世界初挑戦に王手をかける。24日に控える同級3位ライース・アリーム(米国)との同級挑戦者決定戦に勝てば空位の1位に入る。同級王者アンジェロ・レオ(米国)への挑戦権を得るが「難しい試合になると思うが、必ず自分が勝つ。先を見ず、目の前の相手にしっかり勝って喜びたい」と淡々と話した。