阪神2軍の注目選手を取り上げる企画「飛び出せ大物」。第13回は育成の伊藤稜投手(26)を取り上げる。左腕は左肩痛の影響…
阪神2軍の注目選手を取り上げる企画「飛び出せ大物」。第13回は育成の伊藤稜投手(26)を取り上げる。左腕は左肩痛の影響もあり、昨季に実戦初登板。それでも4年目の今季は2軍でローテを完走し、存在感を示した。来季に向けては今季投げてこなかったツーシームに取り組む。球種の選択肢を広げ、目標の支配下登録を勝ち取る。
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安芸のブルペンに小気味良いミットの音が響く。音の主は伊藤稜だ。左腕は秋季キャンプ期間で670球を投球し、対外試合の2試合にも登板。投げ込みを強化し、来季に向けて弾みをつけた。
左肩痛で投げられない苦しい3年間を乗り越え、今季はウエスタンで23試合に登板し、99回1/3を消化。8勝7敗で防御率は2・63と一定の成績を残した。それでもまだ課題を認識している。「もうちょっと簡単に打ち取れたらって。テンポ良く球数少なく行ける」。2軍では球数がかさみ、6回前後で降板となるケースも多々あった。
この問題を解決できるのが「ツーシーム」だ。「カウントを取りに行くのもだし、簡単に1球でゴロを打たせて取るようなイメージ」。球速帯は直球に近く変化は少ない。スイングに向かう打者の芯を外して凡退を狙う。持ち球にしているスライダー、カットボール、チェンジアップにツーシームが加われば、より脅威となる。
10月のみやざきフェニックス・リーグからツーシームを投げ始めた。10月19日のオリックス戦では5回2安打無失点。効果的に投じ、69球と省エネ投球。テンポ良く相手打線を抑え、手応えを得た。
安芸のブルペンでもツーシームを投じたが、まだ使い慣れてはいない。「変化はしている。まだちょっと、あっちこっち意図しない方向に落ちることもあるのでもっと意図的に曲げられるように」と制御に苦労している。「しっかり春から使えるようにしていきたい」とオフ期間もSGLで研さんに励む。
来季は育成5年目。苦労人は自身の立ち位置も理解している。「しっかり結果を出さなきゃいけないと思います。取り組んで勝負の年にしていきたい」。25年シーズンは多くの経験をした。苦しんだ日々を乗り越えて、来季こそは必ず花を咲かせる。