阪神の大山悠輔内野手(30)が18日、兵庫県西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の3億4000万円でサイ…

 阪神の大山悠輔内野手(30)が18日、兵庫県西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の3億4000万円でサインした。昨年、国内FA権を行使し、チームに残留。5年17億円で契約を結んでいる。今季8年連続の2桁本塁打を記録した主砲は、球団に甲子園の“テラス席”設置を要望。近年、設置される球場も増える中、野手としての意見を強調した。今オフは新しい練習方法などを開拓し、プロ10年目となる来季の連覇と日本一奪還を目指す。(金額は推定)

 大山は晴れ晴れとした顔で会見上に現れた。球団との話し合いでは“テラス席”設置の要望を伝え、「発信していくことで何か変わっていければいいのかなと思うし、変わってほしいという願いを込めて。欲しいなっていうのはずっと言ってはいます」とはっきりと口にした。

 “テラス席”は、本来の外野フェンスの内側に新たに設けられた観客席のこと。要望にあたって大山自身も「球場の考えもあると思うし、いろんなことが絡むので難しいところ。投手と野手のメリットとデメリットもある」と話した。

 利点は本塁打が増えることで、試合のエンターテインメント性がより高まる。また野手陣のモチベーションも上がり、チーム全体の打撃力向上につながることも考えられる。一方でマイナスの要素としては、防御率の悪化など投手不利の展開になることが挙げられる。それでも大山の思いは変わらない。

 「野球、スタイルが変わっていく、変えなくてはいけない球場ではあると思う。野手としての一意見を伝えてきた」

 1947年に甲子園球場に国内で初めて「ラッキーゾーン」が設置されたが、高校野球の金属製バット導入により本塁打が増加。日本高野連の提案で91年のシーズン終了後に撤去された。しかし近年、プロ野球界で本塁打が減少傾向にあり、球場への設置に踏み込んでいる球団がある。

 2015年にはヤフオクドーム(現みずほペイペイドーム)に「ホームランテラス」、19年にZOZOマリンスタジアムに「ホームランラグーン」という名称でテラス席が設けられ、いずれも本塁打数が激増した。来年にはバンテリンドームに本塁から左右中間フェンスまでの距離を短縮する「ホームランウイング」が設置される。

 球界として変わりつつある中、昨年オフには佐藤輝が要望するも実らず。この日の要望に対しては、28年3月完成予定の銀傘の拡張が優先されることが球団から伝えられたが、思いは発信できた。その上で来季、5年契約の2年目に向かう。

 国内FA権を行使し、残留した今季は141試合で打率・264、13本塁打、75打点。8年連続の2桁本塁打を放ち、2年ぶりのリーグ優勝を遂げたが「自分の成績に満足するところはない」と悔しさを語った。「体のことを一番に考えて。自分の知らない方法を見つけていくのもオフでやっていきたい」。目指すは連覇、そして日本一。31歳で迎える来季も全力で戦い続ける。