苦しい戦いを勝ち切った。1敗でもすれば優勝から大きく遠ざかる今カード。第7週の相手は前節で15年ぶりに勝ち点を挙げ勢いに乗る東大だ。3回に先制を許し、5回には長短打にバッテリーミスも重なり3失点。終始東大ペースで試合が進んだ。しかしその裏、逢澤崚介外野手(文3=関西)の適時二塁打などで4-4の同点に。さらには8回、竹村春樹内野手(政経4=浦和学院)の適時打で勝ち越しに成功する。最後は石毛力斗投手(文1=高崎健康福祉大高崎)が締め5-4で試合終了。絶対に負けられない今カードの初戦を制した。

 副将のバットがチームを救った。4-4の同点で迎えた8回、2死一、二塁で1番・竹村に打順が回る。6回に2死二塁のチャンスを潰していただけに「絶対に返す」と強い気持ちで打席に入った。ベンチ、スタンドからは大きな声援が送られる。「みんなの声が聞こえていた」(竹村)。1ボールからの直球をはじき返すと、打球は飛び込んだ遊撃手のグラブの先を抜け、中前へと転がっていく。ヒーローは明大ベンチに向け雄たけびとともに大きくガッツポーズ。ドラフト候補にも挙がる男の一打が試合を決めた。

 決勝打は粘り強さの賜物(たまもの)だ。8回。一死から7番・高瀬雄大内野手(営3=長崎西)が「追い込まれていたのでとにかく食らい付いていった」とバットを折られながらも左安打で出塁。犠打で2死二塁となった後、代打・宮﨑新内野手(文4=履正社)がコールされた。わずか2球で追い込まれたが、簡単には終わらない。ファールで粘りに粘り、11球目に四球を勝ち取る。持ち前の巧打力としぶとさで殊勲の竹村へと好機をつないだ。今試合は序盤から一貫してリードされる展開。それでも、選手たちに焦りはなかった。力のある高めの直球は捨て、確実に打てるボールを待つ。東大エース・宮台の対策を徹底し、8回で133球を投げさせることに成功。「粘りの明治と言われる本当の姿が見せられた」(中野速人主将・法4=桐光学園)と我慢強く試合を運んでいったことが最後に実を結んだ。

 

強心臓ぶりを発揮した石毛

 強心臓ルーキーが試合を締めくくった。1点差の最終回、善波監督は石毛をマウンドに送った。普段は対左ワンポイントでの起用が多いが、抑えでの登板にも「いつも通りいけた」(石毛)。この日好調だった東大クリーンアップにも強気に勝負。切れのある直球と落差のあるカーブを効果的に使い、打者を翻弄(ほんろう)する。最後の打者を空振り三振に打ち取ると、試合中はクールな左腕も1年生らしいあどけない笑顔を見せた。シーズン序盤は出遅れた石毛だが、徐々に調子を上げ今ではチームに欠かせない存在になりつつある。今日の結果にも「大事な場面で登板して抑えられている」と自信を深めた。

 エースの不調もカバーする。先発の齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)は「今季一番悪かった」と6回4失点で降板。チームには嫌な雰囲気も漂ったが、後続の投手がしっかりと投げ切った。2番手の髙橋裕也投手(総合3=向上)は2回無失点。8回には2死満塁のピンチを招いたが「開き直って投げた」と相手に得点を許さず。抑えの石毛へとバトンを渡した。今季、齊藤の投球回数は50回と3分の2。計776球を投じている。それだけに疲労の蓄積は否めない。その穴を補う投手陣の活躍はチームにとってこれ以上ない好材料だ。

 連勝しか考えていない。現在2位で慶大を追う明大。王座奪還を目前とした今カードは、1試合でも落とせば致命傷となる。選手たちも「どんな試合になっても勝てばオッケー」(高瀬)と内容よりもとにかく結果にこだわる。両校のエースが登板した今試合。継投が予想される次戦は、いっそうの総力戦が見込まれる。「明日も投げる準備をする」(齊藤)。全員野球で優勝への望みをつなぎ、神宮大会への切符をつかむ。次戦を4年生にとっての最後の神宮にはしない。

[楠大輝]