■守備リーダーの「貫禄」と「余裕」 サッカー日本代表DFで、ボルシアMGに所属する板倉滉が、ブンデスリーガ最終節のヴォルフスブルク戦に先発。移籍の話が浮上する板倉には、ボルシアMGでの「ラストマッチ」になるかもしれないということで、国内外か…

■守備リーダーの「貫禄」と「余裕」

 サッカー日本代表DFで、ボルシアMGに所属する板倉滉が、ブンデスリーガ最終節のヴォルフスブルク戦に先発。移籍の話が浮上する板倉には、ボルシアMGでの「ラストマッチ」になるかもしれないということで、国内外から注目が集まった。

 また、第17節(1月15日)の前回のヴォルフスブルク戦で、ブンデス初ゴールを決めた福田師王にも、縁起のいいヴォルフスブルク戦での出場はあるのか、再びのゴールはあるのか、こちらにも注目が集まった。

 試合前の練習で板倉は、チームスタッフと確認しながら、ロングキック、へディングの練習を何度も繰り返す。その姿からは、チームの守備リーダーとしての貫禄と余裕が感じられた。

 一方、前回対戦でのゴールの手ごたえがあるのか、福田は試合前から気合い十分。サブ組ながらもテンションを上げて、試合前の練習に集中して取り組んでいた。

 試合は、ボルシアMGが攻勢に出るも、なかなかシュートが決まらない。守備は板倉がリーダーとなって、余裕をもってヴォルフスブルク攻撃陣に対応。板倉から効果的なバスが前線にフィードされることもあったが、カウンターを食らい、先に点を決められてしまった。
 

■途中出場で「惜しい」シュート!

 後半37分には、監督に指示を受けた福田が途中出場。精力的に動きまわり、ボールを何度かキープする場面も。一度、惜しいシュートも放った。

 ここ数か月でさらに鍛え上げたのだろう。上半身が以前よりも、大きく肉厚になったように感じられた。また、短い出場時間ながら、フィジカルではもちろん、屈強な相手DFに一歩も譲らない精神面での強さを見せるなど、メンタル面でも一段と逞しくなったようだ。

 試合は残念ながら0-1で敗れ、ボルシアMGはリーグ戦連続7試合、未勝利のままでシーズンを終えた。

 試合を撮影した、欧州リーグに詳しいカメラマンの渡辺航滋氏は福田について、こう語る。

「来シーズン、出場の機会をもらったときに、チームメイトから信頼され、良い形でボールをもらうことができて、そのチャンスに得点を確実に決めることができるか。そこが、ボルシアMGでフォワードとして生き残っていけるかの鍵になるでしょうね。

 ホルシュタイン・キールの2部降格で、所属していたFW町野修斗がボルシアMGへ移籍する、ボルシアが獲得を目指しているとの話も浮上しています。そうなれば、ワントップが基本のチームだけに、出場争いはさらに過酷なものになるでしょう。

 ただ、この試合、後半37分に出場して、出場時間は長くなかったにもかかわらず、試合後、全身の力が抜けたようにピッチに座り込んで、なかなか立ち上がれなかった。試合中も、それだけ全力で動いてましたし、あの集中力をもってすれば、厳しい局面も打開できるのではないでしょうか」

 先輩でである板倉が移籍が本当だとするならば、取り残される不安も大きいことだろう。ただ、肉体面でも精神面でも成長し、だいぶ大人らしい顔立ちになった、20歳の若武者の奮闘に期待したい。
 

■板倉の「パスミス」に見えたのは…

  一方の板倉は、地元ドイツ紙『Bild』によると、最終節での評価(1~6段階評価で最低の評価点6)は芳しいものではなかったが、その採点は間違っていると断言するのは、前出の渡辺氏だ。

「板倉のパスミスに見えたのは、味方が動けていなかったり、板倉の意図を理解していなかっただけ。板倉は“もっと動け”と周囲の選手に身振り手振りを交えて指示を送っていましたが、正直、他の選手たちは疲れ切っているように見えました。

 板倉は、もっとレべルの高い選手たちが所属するチームに移籍すれば、両足での安定したキック、無駄のないトラップからの正確なパスフィードなどを武器に、さらに活躍できると思いますよ。そこでプロ選手としての総合力を上げていけば、現在、世界最高峰のリーグと言われるブレミアリーグでも、守備の要としても通用するのではないでしょうか」

 オフシーズン、そして夏の移籍市場に突入する(6月14日から8月30日まで)直前には、サッカー日本代表の試合も待っている。オーストラリア、大阪での活躍にも期待したい。
 

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