陸上の女子100メートル障害元日本記録保持者で、21年東京五輪代表の寺田明日香(35)=ジャパンクリエイト=が15日、都内で行われた記者会見で今季限りで「第一線を退く」意向を表明した。 * * * * 昨年6月のパリ五輪代表を懸けた雨中の…

 陸上の女子100メートル障害元日本記録保持者で、21年東京五輪代表の寺田明日香(35)=ジャパンクリエイト=が15日、都内で行われた記者会見で今季限りで「第一線を退く」意向を表明した。

 * * * *

 昨年6月のパリ五輪代表を懸けた雨中の日本選手権。寺田は参加標準記録を突破できず、3位で代表入りが絶望となった。それでも、0秒02差で競り負けた2位の田中佑美に真っ先に駆け寄った。その後は優勝した福部真子(29)の元へ向かい、3人で抱擁。即時内定した福部には「本当におめでとう。頑張って来てね」と笑顔で声をかけた。記録だけではないその人柄を間近で見て、日本女子ハードル界にとって寺田がどれだけ偉大な存在か実感した。

 21年に日本女子初の12秒台となる12秒97の日本新記録(当時)を樹立。小学5年生の娘を持つ“ママさんハードラー”としてもパイオニアとなった。若手が台頭したのは、その大きな背中があったから。今や7選手が12秒台に突入し、日本のレベルも飛躍した。26歳の田中は「強くいてくれるから、まだまだいけるっていう気持ちにしてもらっています」と感謝する。第一人者の雄姿を、今季最後までしっかりと伝えたい。(陸上担当・手島 莉子)