◆第85回皐月賞・G1(4月20日、中山競馬場・芝2000メートル) 第85回皐月賞・G1で、気鋭の30代若手トレーナーがG1初制覇に挑む。開業3年目の上原佑紀調教師(35)=美浦=は平成生まれ初の調教師で、スプリングSを勝ったピコチャンブ…
◆第85回皐月賞・G1(4月20日、中山競馬場・芝2000メートル)
第85回皐月賞・G1で、気鋭の30代若手トレーナーがG1初制覇に挑む。開業3年目の上原佑紀調教師(35)=美浦=は平成生まれ初の調教師で、スプリングSを勝ったピコチャンブラックを送り出す。
ピコチャンブラックで、昨年のアレグロブリランテ(15着)に続く皐月賞挑戦となる上原佑調教師は、4度目のG1出走。順調にキャリアを積み重ねている。「期待馬を預けていただいているという責任感もありますが、楽しいという気持ちが強いです」と笑顔で語る35歳の心意気は、爽やかそのものだ。
若きトレーナーが大事にしているのは「個」だという。「馬も人も個性を大事にしています。スタッフも得意、不得意があるので」。ピコチャンブラックもホープフルS13着後に担当を変えたことが、スプリングS勝利の一因になった。「決して前任者がダメだったわけではないですが、馬との相性ですね」。適材適所の見極めが厩舎に初の重賞タイトルをもたらした。
日大卒業後に獣医師として美浦トレセンで2年あまり勤務した経験も財産だ。「調教師の仕事を間近で見ていて、獣医の知識を生かせるんじゃないかと思っていたんです。スタッフに触診の仕方を教えてあげたりできるのは強みですね」。厩舎力の底上げに大きな武器となっている。
父・博之調教師の管理したダイワメジャーは04年の皐月賞をはじめG1を5勝。種牡馬としてもセリフォスなど活躍馬を出し、13日の桜花賞では孫のエンブロイダリーが栄冠を手にした。「種牡馬としても活躍したすごい馬。自分もブラックタイプ(※)に残るような馬を育てたいです」と憧れの存在だ。
ピコチャンブラックはその期待に応えられる素質の持ち主。「当歳に見たときから動きがしなやかで、ぜひ預からせてもらいたいと思いました。今回も相手は強いけど、力を出せれば差はないと思います」と力を込める。課題の気性面も「前回よりも落ち着きがあって、状態はいいですよ」と不安はない。“平成生まれ初のG1トレーナー”という称号は目前に迫っている。(角田 晨)
※リステッドや重賞勝ち馬がセリ名簿の血統欄に太字で表示されること
◆上原 佑紀(うえはら・ゆうき)1990年1月29日、東京都生まれ。35歳。小学3年から乗馬をはじめ、日大馬術部時代の11年には全日本学生馬術大会で優勝。卒業後、美浦トレセンでの獣医師としての勤務を経て、18年から厩務員、助手に転身。21年12月に調教師免許に合格。栗東の西園翔調教師とならび平成生まれ初の調教師となる。23年3月に開業。JRA通算47勝。今年3月にピコチャンブラックのスプリングSで重賞初制覇。