NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB2025年4月13日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)クボタスピアーズ船橋・東京…
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月13日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 30-10 東京サントリーサンゴリアス
宿敵の侵攻を阻み、圧倒した“オレンジの壁”。創業の地で刻んだ進化の証
長くキャプテンを務めチームを牽引してきた立川理道選手は、競争の激しさがチームの成長につながっていると語る
西の聖地・東大阪市花園ラグビー場に冷たい雨が容赦なく降り注ぐ。そんな悪天候の中、グラウンドを支配したのはクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)が誇る屈強なフォワード陣の圧倒的な力、そして鉄壁のディフェンスが相手の攻撃をはね返す、盤石なゲームメークだった。
クボタにとって創業の地である大阪でのホストゲーム。クボタスピアーズ(当時)は4年前、この場所でサントリーサンゴリアス(当時)に9対26の大敗を喫している。トップリーグ最後の年、決勝進出を目指すクボタスピアーズの前に立ちはだかったのがサントリーサンゴリアスだった。
2023年はディフェンディングチャンピオンとして初めて臨んだシーズン初戦で叩きのめされ、好調な滑り出しを見せた今季でも第4節で大量リードを奪いながらも追いつかれドローにもち込まれた相手も東京SG。思えば、常に学びと気付きを与えられてきた相手と言えるだろう。
その宿敵とも言えるチームと対峙し、S東京ベイは理想的な快勝を収めた。“オレンジの壁”と称される防衛網が相手のアタッキングラグビーの効力を弱め、トライゾーン前では重機のようなフォワード陣がボールをねじ込んでスコアを重ねる。4年前の敗戦を知る海士広大は、現在チームが勢いを維持している要因を「フォワードで圧倒できているところ、セットピースが武器になっているのが大きい」と分析する。
そして、今季からチームに加わったスコット・マクラウド アシスタントコーチが構築するディフェンスシステムが功を奏しているとも。それは、第15節を終えた時点で『298』、ディビジョン1の12チームの中で唯一の200点台という圧倒的な失点の少なさにも表れている。
また、この快進撃を支えている要素の一つに、ニュージェネレーションの台頭とチーム全体の底上げも挙げられる。この日は試合前にロックのルアン・ボタが負傷。急きょ、先発メンバーとしてピッチに立ったのが今季初キャップを飾ったばかりのデーヴィッド・ヴァンジーランドだった。ベテランでありながらも切り込み隊長のごとく身をていして前進し、戦いの随所でスコアの起点を作り出していた立川理道が証言する。
「急なメンバー変更にも対応できるのは、チームの強み。チーム内の競争がすごく激しく、良いパフォーマンスができなければメンバーが変わってしまうという危機感が一戦一戦の成長につながっているように思います」
宿敵との一戦で描いた進化の証。この勝利で順位は2位に浮上。頂点への光が見えてきた。
(藤本かずまさ)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(右)、ファウルア・マキシ キャプテン
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ
「コンニチワ! もちろん結果には大変満足しています。試合前にルアン・ボタがけがで離脱し、急きょヴァンジー(デーヴィッド・ヴァンジーランド)が出場することになりましたが、非常に素晴らしい仕事をしてくれました。困難な状況下、雨天の中、ロックとしていい仕事をしてくれました。しかし、本当に目立ったのは、ゲームにおけるコントロールでした。セットピースとキックゲームを通じてプレッシャーを掛け続けました。それが私たちにチャンスを生み出し、辛抱強くプレッシャーをポイントに変えることができました。グラウンドに立っていた選手たちを褒めたいです。常にその瞬間に集中し、その瞬間を勝ち取ることが非常に重要でした。そして、今日、それをうまくやり遂げることができました」
──前半のディフェンスが非常に良かったのですが、その評価を聞かせてください。
「明らかに天候がアタッキングラグビーを難しくしました。サンゴリアスさんもアタッキングマインドをもっていることは分かっていました。ディフェンスは私たちの文化であり、思いやりを表すものであることを今日は示しました。サンゴリアスさんを抑えるためには、今日は大きなディフェンスの努力が必要でした」
──レギュラーシーズンは残り3試合となりました。これからどのようにチームを仕上げていきたいですか。
「ハドルでも話しましたが、今週はリフレッシュすることが重要です。選手一人ひとりが自分に必要なことを把握し、リカバリーが必要な選手もいれば、コンディションを上げる必要がある選手もいます。バイウィーク明けは、三重ホンダヒートさんとの試合がありますが、ボールを保持するチームとの対戦は、私たちにとって良い挑戦になるでしょう。まずは目の前の試合に集中します。目の前のことを見て、先走らないようにという気持ちが大事だと思います」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
ファウルア・マキシ キャプテン
「雨の中、たくさんのオレンジアーミーの方に観に来ていただき、本当に感謝したいです。自分たちの力にもなりました。久しぶりの大阪でのホストゲームで、僕はいつも大阪で試合をすることを楽しみにしています。特に、サンゴリアスさんとはいつもそうですけど、今週は絶対にタフなゲームになることは分かっていました。それでも自分たちは、こだわっているところにはしっかりとこだわって、今週いい準備をしてきました。その準備してきたものを、今日の試合にしっかりと出して、それが結果につながり良かったと思います」
──前半のディフェンスが非常に良かったのですが、その評価を聞かせてください。
「サンゴリアスさんはアタッキングチームということが分かっていた上で、自分たちの強みはディフェンス。今季はすごくディフェンスをやってきて、自分たちのDNAにもあると思っているので、それが前半にすごくうまくいっていて、自分たちの自信にもなったと思います。後半は、コネクションをちょっと失ったところもありましたが、全体的にすごく自信にはなっているし、今後の試合に向けてさらに成長してやっていきたいと思います」
東京サントリーサンゴリアス
東京サントリーサンゴリアスの小野晃征ヘッドコーチ(左)、堀越康介キャプテン
東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ
「まず両チームのファンと関係者の皆さま、寒い雨の中、応援ありがとうございました。サンゴリアスとしては、クボタスピアーズ船橋・東京ベイさんのテンポとペースでプレーさせられ、セットピースもコントロールされた80分間だと思っています。なかなか自分たちのペースにもち込むチャンスを与えてもらえずに80分間が終わった試合でした。次の試合に向けて、どうやって自分たちのスピードとテンポでプレーできるかを磨いていきたいと思います」
──残り試合も少なくなってきました。チームをこれからどのように準備していきたいか、聞かせてください。
「次の公式戦はトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)さんが相手ですが、明日は東芝ブレイブルーパス東京さんとの練習試合があります。あまり先を見ずに、ハードな練習をしているノンメンバーの試合もサポートして、しっかりとコーチと選手たちがトヨタV戦に向けて、一つのプランで戦えるように準備していきたいと思います」
東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン
「80分通して何もできなかった、させてもらえなかったという印象です。一つは自分たちのペナルティ、ミスというところが前半から響き、同じようなペナルティを重ねてしまいました。またブレイクダウンやセットピースでのプレッシャーがものすごく、そこで80分間、少し受けてしまったという印象があります」
──実際に体をぶつけてみて、相手のディフェンスにどのような印象をもちましたか。
「タックルのあと、ファイトしてきて、レフリーとのかみ合わせもあったと思いますが、なかなか自分たちのいいテンポでボールがスムーズに出ずに、一つキャリーしてスローダウンして、また一つキャリーしてスローダウンして……、というところがあったと思います。試合前に『自分たちのスキルをしっかり使っていこう』と話していて、雨の中ですけど、スキルを使ったアタックのときはすごくいいテンポで出ていました。でも、1週間通して準備してきたことが全部は出せなかったと思います」