◆明治安田 J1リーグ▽第10節 G大阪2―0名古屋(12日・パナソニックスタジアム吹田) 【関西サッカー担当・森口登生】丁寧で、品のある1勝に思えた。前半からボールを保持する時間を多くつくった。3センターバック(CB)で守備時は5バックの…
◆明治安田 J1リーグ▽第10節 G大阪2―0名古屋(12日・パナソニックスタジアム吹田)
【関西サッカー担当・森口登生】丁寧で、品のある1勝に思えた。前半からボールを保持する時間を多くつくった。3センターバック(CB)で守備時は5バックの形を敷く名古屋を相手に、焦らずボールを回して序盤はゆっくりと攻撃の糸口を探る。最終ラインも押し上げて相手にボールを奪われたシーンでもすぐに奪取。セカンドボールも回収するシーンが多く見えた。ゴールは奪えず0―0試合を折り返すと、前半に決めきれなかった点を生かすように2得点。守っては前後半でシュート1本ずつに抑えて無失点で白星を記録した。
なんと言ってもFWイッサムジェバリだろう。得点、アシストにとどまらずボールを収める、プレスに行く。献身的なプレーが随所に光った。後半18分、MFファンアラーノのスルーパスに抜け出すとペナルティーエリア左へ進入。「動きをまず加えて、左で打つと見せれば必ずスライディングする、と前の傾向からあったので、そこはフェイント。2人目の選手がスライディングをしてきた時は自分はボールをキープしないといけないと。あれは瞬間の判断」と、シュートコースを阻んできた相手DF2人を鋭い切り返しでかわし、ゴール右のサイドネットへシュートを運んだ。チーム3試合ぶりの得点を誇るように一目散にサポーターが待つゴール裏方向へ駆け出すと、何度も大絶叫。呼応するようにスタジアムのボルテージは数段上がった。同31分にはMFファンアラーノが放ったシュートのこぼれ球を、詰めていたイッサムジェバリが回収。中へ折り返し、FW山下諒也のゴールをアシストした。パワフルかつ、波に乗っているジェバリだ。フルスイングでゴールにねじ込む姿にも少々期待してしまったが「諒也がフリーだったんでね、あれはパスしかないでしょ!」と、本人の方が冷静かつ賢明だった。
13日からは「大阪・関西万博」が開催されている。チュニジア出身のジェバリにとって母国の自慢は「オリーブオイルが有名で、実際に生産量やテイストは世界で1、2を争うと言われている。あとはカルタゴ(現在の首都・チュニス近郊)の時代から歴史的には豊かな国」と、にっこり。争いの中で、巧みな戦略でローマ軍を苦しめたカルタゴの名将・ハンニバルの存在には「英雄」と言い切った。この日のプレーでは「今日の試合は自分にとって難しくて、どこに行こうとしても、どんなパフォーマンスを出したとしてもCBがついてきていた状況。だからこそ頭を使って」と回想。頭脳と技術でチームに勝利をもたらした姿は、母国の「英雄」のようだった。