「阪神2-3中日」(12日、甲子園球場) 阪神OBで、昨季まで投手コーチを務めた福原忍氏(48)が12日・阪神-中日戦(甲子園)でデイリースポーツの評論家として“デビュー”。ドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=の投球を「さす…
「阪神2-3中日」(12日、甲子園球場)
阪神OBで、昨季まで投手コーチを務めた福原忍氏(48)が12日・阪神-中日戦(甲子園)でデイリースポーツの評論家として“デビュー”。ドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=の投球を「さすがドラ1」と絶賛した。開幕からリリーフ起用が続く左腕の技術的な解説から、元投手コーチとして先発起用の可能性についても「見てみたい」と言及。育成ドラフト1位・工藤泰成投手(23)=四国ILp徳島=と2人、ルーキー投手の魅力を語った。
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試合の結果は惜しくも敗れてしまいましたが、内容としては見どころが多かったと思います。中でもルーキーの伊原投手は「さすがドラ1だな」と言える投球でした。1年目からマウンドで動じない姿に驚きました。生で見るのは初めてでしたが、リズムがいいし、ボールの角度がいい。これから期待できる投手だと強く印象に残りました。
注目したのは2イニング目の七回、走者を出してからの投球です。2死一、二塁から代打・中田選手に対し、外角の直球を続けて遊ゴロに抑えました。投手コーチをしてきた経験から言えば意外と、左投手で右打者の外角低めに投げ切れない投手は多い。内角は意識して投げることができても、傾向として外角球が弱くなることがあります。
内角の直球も角度がいいので、捉えてもファウルになる。同じように変化球の制球も安定しているので、例えば同じ球種でストライク、ボールを投げ分けられることが彼の強みだと感じます。カウントが悪くても打者が狙っていない変化球でストライクを取ることができる印象。投球テンポもいいですしフォームのバランスもよく、制球が乱れることがないのでベンチも計算しやすいです。
当然、チーム事情もあると思いますが、私がコーチの立場なら先発でも見てみたい。あれだけテンポ、リズムのいい投手ですから、今のまま成長してくれることを願います。もしかすると本人は「チェンジアップ系の球をもっと低めに」など、プロの打者と対戦して感じている部分もあるかもしれませんが、今の角度の真っすぐを維持して、スピンの利いた球を意識して投げていけば十分に通用するでしょう。
また、同じくルーキーの工藤投手も楽しみな存在です。前回登板から踏ん張れるか、大事な一戦を乗り切りました。この経験、一つ一つが自信になっていきます。抑えられるボールがあるんだから、いい顔で自信を持って投げたらいい。一つ伝えたいことは「見逃しでもファウルでもストライク」ということです。前回は三振が取りたいと力が入り過ぎた印象です。誰もが通る道。ここは自分で乗り越えていくしかない。期待しています。
先発の西勇投手と松葉投手は「スライダーの精度」が明暗を分けたように思います。西投手は今季初登板。少し力が入ったか、左打者の内角に投げるスライダーがヒットゾーンに飛びました。本来なら一塁ベンチ方向のファウルや自打球になる印象です。打者は足を動かされるのを嫌いますが、この日は内側の球を投げ切ることができませんでした。一方で六回、松葉投手は森下選手の右足付近にスライダーを投げ、空振り三振を奪ったように精度が高かったです。抜け球が目立ってしまった西投手は、次回登板に向けて修正が必要です。