「巨人0-1阪神」(6日、東京ドーム) 東京ドーム全体が白熱する。両軍のファンが激しい応援合戦を繰り広げる中、バットが空を切った瞬間、大歓声を浴びながらほえた。グラブを力強くたたき、ガッツポーズで喜び爆発。阪神の育成ドラフト1位・工藤泰成…
「巨人0-1阪神」(6日、東京ドーム)
東京ドーム全体が白熱する。両軍のファンが激しい応援合戦を繰り広げる中、バットが空を切った瞬間、大歓声を浴びながらほえた。グラブを力強くたたき、ガッツポーズで喜び爆発。阪神の育成ドラフト1位・工藤泰成投手(四国ILp徳島)が5球で窮地を救い、勝利の立役者となった。
「プレッシャーはあまりなかった。重要な場面なので、抑えたい気持ちは強かった」
この日一番のピンチだった。1-0の六回2死一、三塁。好投を続けていた門別に代わってマウンドに上がる。対したのは5番・甲斐。初球、2球目と自慢の直球が力みからゾーンを外れた。「軽くいこう」。3球目から完璧に修正。150キロ台の直球で押し込み、最後は143キロの鋭いフォークで空振り三振を奪った。
緊迫の空気も力に変えた。門別との交代時、「『抑えてくれ』って顔で訴えかけていたので」とその表情から強い思いをくみ取った。巨人とのシーズン最初の3連戦を3連勝したのは21年ぶり。門別の初勝利とともに、チームの大きな連勝に花を添えた。
今季はここまで3試合に登板。同点や1点を追いかける展開は経験したが、1点リードの場面での登板は初めてだった。藤川監督は「一番使いたいところで、今日はタイミング良く回ってきましたね。ああいう場面を待っていた」とプロ初ホールドを記録した23歳を手放しに褒めた。
工藤は僅差で勝っている場面を任されることに「もちろんうれしい」とうなずき、「これからもそういう場面で投げさせていただくことはあると思うので、また同じように抑えられるように頑張っていきたい」と前を向いた。
登板がアナウンスされた際に「工藤コール」が沸き上がるほど、ファンからの期待も大きいルーキー。「助け合いのブルペンというのをみんなで言っていたので、今日はそれをできたんじゃないかなと思います」。頼もしい右腕がさらにたくましさを増した。