大勢の観客が埋めた一塁側スタンドから、ため息が漏れた。早大は29日、東京六大学野球春季リーグ戦の慶大2回戦に3-5で敗…

 大勢の観客が埋めた一塁側スタンドから、ため息が漏れた。早大は29日、東京六大学野球春季リーグ戦の慶大2回戦に3-5で敗れ、シーズンを5位で終えた。慶大とのカードを前に順位は確定しており、プライドをかけて臨んだ早慶戦だったが、結果は2連敗。3勝8敗2分、勝ち点1の戦績に、主将の中川卓也内野手(4年)は「東大にしか勝ち点は取れていなくて、不甲斐ない、情けないという気持ちです」と唇を噛んだ。

 小宮山悟監督は今季の戦いを振り返り、「選手それぞれが自分の力量を把握できたと思います。六大学のトップの選手を目指すのであれば、今までやってきたことでは『5位の選手』ということが分かったと思う。それぞれに考えさせたいと思います」と語気を強めた。

 今季の早大は、打線が苦しんだ。今秋のドラフト候補でもある主砲の蛭間拓哉外野手(4年)は慶大戦でやっと2本塁打を放ったが、それでも今季は4打点。昨年からレギュラーで上位を任された熊田任洋内野手(3年)と中川卓も打率は2割前半。ヒットが出ても得点に繋がらないことが多く、1試合あたりの平均得点は2.69点。慶大の6.08点と比べると半数以下だった。

リーグ2位の防御率1.67を記録した早大・加藤孝太郎【写真:小林靖】

 一方、光が見えたのは投手陣。リーグ2位の防御率1.67を記録した加藤孝太郎投手(3年)を中心に、試合を作った。中森光希投手(2年)、伊藤大征投手(3年)がリーグ戦の経験を積み、1年生の伊藤樹投手も140キロ後半の直球を武器に中継ぎとして8イニングで12奪三振を奪い、大器の片鱗を見せた。この日はリーグ戦初先発となった清水大成投手(2年)が粘りの投球。5回に一発を浴びて3失点したが、4回までは味方の失策もありつつも1失点で抑えていた。

 昨年先発の2本柱として投手陣を引っ張った徳山壮磨投手(DeNA)と西垣雅矢投手(楽天)が卒業し、リーグ戦の先発経験のある投手がゼロに。オープン戦では打ち込まれ、小宮山監督からは「弱体投手陣」との烙印を押されていた。しかし開幕してみれば「打ち勝つ野球」を想定していた指揮官の思惑とは真逆の展開に。リーグ戦を終えて、「手応えを感じることは、できたことはできた。ゼロからというところだったので、(来季に向けて)かなり期待をしていいのかなと思いますけどね」と言わしめた

 とはいえ、5位という結果には向き合わないといけない。「まさかとは思うけど、この春の感じであぐらかくようなピッチャーはいないと思うので、もうひと頑張り、ふた頑張りさせたいと思います」と指揮官は更なる成長を予告した。チームをまとめる中川卓は「今まで以上に、1球にかける思いというのを持たないと。口では『死にもの狂い』とか『死ぬ気で』とか言えるんですけど、本当の意味で死のもの狂いで目の色を変えてやっていかないといけないし、やらせないといけないなと思います」。2年連続で春は5位。昨秋は早慶戦で優勝を争った。悔しさを糧に、結果を出す秋にする。

(Full-Count 上野明洸)