2021年1月2日。新しい年の始まりにふさわしい雲一つない快晴の下、東京・秩父宮ラグビー場で全国大学選手権(大学選手権…

 2021年1月2日。新しい年の始まりにふさわしい雲一つない快晴の下、東京・秩父宮ラグビー場で全国大学選手権(大学選手権)準決勝が行われた。前節の慶大戦ではダブルスコアで勝利を収め、3年連続の『年越し』を決めた早大。対するは関東大学対抗戦(対抗戦)4位、前節東海大に辛勝し準決勝に駒を進めた帝京大だ。試合はフィジカルの強い相手に対し我慢強く戦った早大に軍配が上がり、見事2年連続の決勝進出を果たした。

 開始早々、ファーストスクラムから試合が動く。4分、帝京大のスクラムで早大がコラプシングの反則。これにより帝京大にPGを許し3-0と先制点を奪われてしまった。リスタート後、敵陣ゴール前でマイボールラインアウトを成功させ、そのままフッカー宮武海人(政経3=東京・早大学院)がモールトライ。しかし17分、早大のオフサイドから攻め込まれ、ノットロールアウェイのペナルティーから帝京大に再度PGを決められてしまう。なかなか敵陣22メートル以降に攻め込めない早大だったが、24分、マイボールラインアウトから再び宮武がモールトライ。一つ目のトライと同じかたちでの得点となった。早明戦を経て「自分たちのやってきたスキル、ルーティンをやり切るところにフォーカスしてやってきた」(ロック下川甲嗣副将、スポ4=福岡・修猷館)と話すように、ラインアウトの精度を確実に上げた早大。 33分、ラインアウトからフェーズを重ねると、FB河瀬諒介(スポ3=大阪・東海大仰星)が一瞬のギャップを突いてインゴール右中間に持ち込んだ。このまま前半を終えたいところであったが、終了間際に自陣ゴール前での帝京大のスクラムでペナルティーを重ねてしまう。3度のスクラムの後、帝京大にPTを献上し21-13で前半を終えた。

 


モールから2トライを挙げた宮武

 後半、試合が動いたのは7分。自陣10メートル付近のマイボールラインアウトからCTB伊藤大祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)のゲインで敵陣に攻め込むと、パスを河瀬につなぎ、最後に左端でボールを受け取ったWTB古賀由教(スポ4=東福岡)が独走してインゴールを駆け抜けた。その後自陣ゴール前でのフェーズが続き帝京大にトライを献上するものの、22分、CTB長田智希(スポ3=大阪・東海大仰星)からハーフウェイラインでボールを受け取った河瀬が独走トライ。点差を13に突き放した。しかし帝京大もこのままでは終わらない。38分、帝京大スクラムから失点を許し、6点差に迫られてしまう。最後は接戦となったがノータイムでFB南徹哉(文4=福岡・修猷館)が外に蹴り出し、33-27で試合を終えた。

 


ギャップを突いてインゴールへ向かう河瀬

 ラインアウトの精度の向上に加えて、前節同様勝利の鍵となったのは早大から『仕掛ける』マインドと前に出るタックルだ。帝京大を下し、東京・国立競技場で開催される大学選手権決勝への切符を手にした早大 。迎え撃つのは対抗戦王者・明大を大差で破り圧倒的な力を見せつけた関西大学リーグ王者・天理大だ。決勝までに強みである修正力で課題を改善し、セットプレーやディフェンスにも磨きをかけたいところ。東の早大と西の天理大。両者の意地がぶつかり合う決勝の舞台で最後に笑うのはどちらのチームか。全員で『荒ぶる』を歌うために、早大の『BATTLE』は1月11日まで続く。

(記事 塩塚梨子、写真 初見香菜子)

コメント

相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)※記者会見より抜粋

――本日の試合を振り返って

 帝京のフィジカルの強さにどれだけ体を張れるかというのが勝負の鍵になると思っていたのですが、うちの選手が体を張り続けて粘り強くディフェンスをして、最後は接戦になりましたがしっかり勝ちきってくれたゲームだと思います。

――試合中、相良選手や河瀬選手などのいいパフォーマンスをした選手が交代していきましたが、そのあたりの判断についてお聞かせください

 どの選手も足をつるというか、そういうところがあったので、拮抗した試合で23人で戦うという意味でも元気な選手を入れようという判断でした。本当はキーマンになる選手なので最後まで(戦ってほしい)という気持ちもあるのですが、今回はそういう意図がありました。

――東京都の緊急事態宣言の要請について

 そこは行政の判断というか。僕らはこういった状況の中でも試合をしていますが、日本全国で感染が広がらないことが第一だと思うので従うしかないと(思っています)。ただ学生たちにとっては限られた時間なので、どういうかたちであれその場を作り上げて欲しいと切に願います。

――現在のチームについて、決勝に向かっていくチームのムードとしてどのようなものを感じていますか

 決勝に行くためには今日やりきるしかないということでグラウンドに送り出しましたが、拮抗した中でやり切ってくれたと思います。ただ、次のステージに進めることになったので「もう一回やりきるぞ」という思いになってると思いますし、もう一回やりきれる9日間を過ごして決勝を迎えたいと思います。

NO・8丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)※記者会見より抜粋

――本日の試合を振り返って

 帝京の強いフィジカルとセットプレーに対して早稲田から『仕掛ける』というところにフォーカスしてきました。できたところもできなかったところもありましたが、勝利できてよかったです。

――前半について、いいかたちで3つトライを取ったあと、ハーフタイム直前にペナルティトライを奪われました。ハーフタイムでどのような声掛けをされていましたか

 特別何かを変えるということはしないので、前半以上に精度を高く、そして激しくいこうということでセットプレーについてを中心に話をしました。

――前半はモールトライが2つありました

 マイボールモールは、宮武がいいボールを投げてくれたこと、ジャンパーが精度高く飛んだこと、そしてリフターも精度高くリフトできたこと。それらがいいモールにつながったと思います。相手ボールのラインアウトに関してはBチームを中心に精度高く練習をしてくれたので、良い対策ができたと思います。

――前半攻め込まれ、丸尾選手のジャッカルでピンチを防いだシーンがありました

 ショートサイドディフェンスにはこだわっているし、そこの精度も上げてきました。しっかりセットして前に出れば良いディフェンスができるしターンオーバーもできると思っていたので、我慢強く激しくやり続けることを意識していました。

――中盤でのスクラムで何人もの帝京の選手が丸尾選手をマークしていました

 何人が僕をマークしようと、行くときは行くと決めていたので、そこは強い覚悟を持っていました。

――緊急事態宣言の要請について

 それは政府が決めることなので、変に考えすぎずに(試合が)あることを信じて一日一日を積み重ねるしかないと思うので、あると信じて努力したいと思います。

ロック下川甲嗣副将(スポ4=福岡・修猷館)※記者会見より抜粋

――今日の試合の感想は

 勝てて良かったというのが一番です。

――最初にモールトライを取った時の気持ちはいかがでしたか

 攻めたらちゃんと点が取れるということがチームとしてそこで認識できたと思うので、そこから勢いをつかむ手ごたえというか、そういうものを感じました。

――モールを組む時に意識していることはありますか

 練習でいつも意識しているのはしっかりと密着するということと、モールの中で話すことを意識しています。今日はそれがよくできていて、最後のゴールラインのところまで全員が密着してコミュニケーションを取りながらやれたのでトライにつながったのだと思います。

――具体的にはどんな会話をするのですか

 先頭にいる選手が「前に出られそう」とか、それを中の人に「こっちに行くぞ」というのを話して、同じ方向に押し集めるというのがあります。

――早明戦を経て意識の変化はありましたか

 早明戦で自分たちのラインアウトが相手のプレッシャーによって崩されてしまうという経験をして、そこで反省をしてどこに立ち返るか考えた時に、自分たちの精度、スキルにフォーカスするという(ことに取り組みました)。相手のプレッシャーはありますが、自分たちのやってきたスキル、ルーティンをやり切るところにフォーカスして早明戦のあとからやっています。

――モールは帝京戦前にかなり時間をかけて取り組んだのですか

 時間的にはそこまでかけたわけではありませんが、モールに充てられた時間の中でも全員が精度高く(取り組み)、AチームだけでなくBチームのクオリティもすごく高い中で練習ができたと思います。

――決勝への決意、覚悟を教えてください

 ここから9日間しかないので、ここから新しいことをするというのは絶対にありません。1年間積み上げてきたことを精度高くぶつけるということと、強い気持ちを持ってプレーして絶対に勝ちたいと思います。

FB河瀬諒介(スポ3=大阪・東海大仰星)※記者会見より抜粋

――今日の試合の感想は

 仕留めるところでしっかりと仕留められたのが良かったと思います。

――ご自身の一つ目のトライシーンを振り返ってください

 1トライ目については、相手のWTBの選手が少し外側にかぶっていたので、そこのギャップをついてトライまで行けると確信したので勝負しました。

――外で取り切るという今年の早稲田の強みに関して意識することはありますか

 意識の部分としては、早稲田のバックスリーとしてボールを持ったら常にトライを狙いに行くという意識でいます。あとはプレー中のコミュニケーションだったりスペースの共有をするようにしています。

――決勝への決意、覚悟を教えてください

 今まで積み上げてきたものを100%出し切るだけだと思っています。優勝した結果が2連覇というだけなので去年のことはあまり考えずに、優勝できるように頑張りたいと思います。

 

全国大学選手権
早大スコア帝京大
前半後半得点前半後半
21121314
33合計27
【得点】▽トライ 古賀、宮武2、河瀬2 ▽ゴール 吉村(4G)
※得点者は早大のみ記載
   

早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
久保 優スポ4福岡・筑紫
 後半34分交代→17横山  
宮武 海人政経3東京・早大学院
 後半40分交代→16川﨑  
小林 賢太スポ3東福岡
 後半34分交代→18阿部  
大﨑 哲徳文構3東京・国学院久我山
下川 甲嗣スポ4福岡・修猷館
相良 昌彦社2東京・早実
 後半31分交代→20田中  
村田 陣悟スポ1京都成章
◎丸尾 崇真文構4東京・早実
 後半39分交代→19桑田  
小西 泰聖スポ2神奈川・桐蔭学園
 後半32分交代→21河村  
10吉村 紘スポ2東福岡
 後半28分交代→23南  
11古賀 由教スポ4東福岡
12伊藤 大祐スポ1神奈川・桐蔭学園
13長田 智希スポ3大阪・東海大仰星
14槇 瑛人スポ2東京・国学院久我山
15河瀬 諒介スポ3大阪・東海大仰星
 後半40分交代→22松下  
リザーブ
16川﨑 太雅スポ1東福岡
17横山 太一スポ3東京・国学院久我山
18阿部 対我社3東京・早実
19桑田 陽介スポ3愛知・明和
20田中 智幸政経3東京・早大学院
21河村 謙尚社3大阪・常翔学園
22松下 怜央スポ2神奈川・関東学院六浦
23南 徹哉文4福岡・修猷館
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)