プロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALLプロリーグ」が発足した2018年、圧倒的な強さで日本一に輝きながら、翌年にまさかの最下位に転落してしまった埼玉西武ライオンズ。4名のプレイヤーを放出して再起を図った2020年、ドラフト1巡目で白…

 プロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALLプロリーグ」が発足した2018年、圧倒的な強さで日本一に輝きながら、翌年にまさかの最下位に転落してしまった埼玉西武ライオンズ。4名のプレイヤーを放出して再起を図った2020年、ドラフト1巡目で白羽の矢が立ったのが町田和隆選手だ。

今シーズンはキャプテンとなった、ライオンズ代表プレイヤー・町田和隆選手 ©Nippon Professional Baseball ©Konami Digital Entertainment

 町田選手は3球団競合の末、2019年は千葉ロッテマリーンズ代表プレイヤーに。ルーキーながらも4勝2敗の好成績を残し、2018年に最下位だったマリーンズを優勝に導く原動力となった。2年連続で前年最下位だったチームの代表プレイヤーとなった町田選手に、新生ライオンズとしてシーズンに臨む意気込みなどを私、ドラゴンズ代表プレイヤーの菅原が聴いた。

 

−4人を入れ替えた新生ライオンズとなって開幕3連勝と好スタートを切りましたね。

正直開幕3連勝は予想していませんでした。想像していたのは2勝1敗で、誰かが躓いても他でカバーできるかなと思っていました。

−開幕戦の初戦ではルーキーの香川選手を起用しましたがどのような意図でしたか。

後ろにキャプテンである自分と、エースの加藤選手がいるのでのびのびやって来いと送り出しました。それがハマりましたね。

−今の雰囲気はどうでしょうか。

みんな楽しくワイワイできているのは良いかなと思います。

−メンバーが総入れ替えとなったライオンズですが、開幕まではどのような準備をしてきましたか。

お互いの実力などがわからない状態でのスタートで、住んでいるところもバラバラなので、オンラインでの練習でそれぞれの弱点などをフィードバックして開幕まで持って行った感じです。

−開幕までの不安はどうでしたか。

めちゃくちゃありました。キャプテンとしてどうまとめていこうかというのはありました。

−昨年はマリーンズでキャプテンの下山選手の背中を見ていたと思いますが、理想のキャプテン像はありますか。

理想はドラゴンズの菅原選手ですね。いや、これは本当ですよ(笑)。

©Nippon Professional Baseball ©Konami Digital Entertainment

−(笑)どのような部分ででしょうか。

外から見たドラゴンズの雰囲気が、お互いが遠慮なく意見交換できているように見えた。それで成長して行っているように見えたし、実際に昨年のドラゴンズのAクラスはチームの力で滑り込めたと思っています。トップダウンではなく意見を言い合う雰囲気を作れていたので、そのようにやっていけたらと思います。

−ありがとうございます(笑)実際にキャプテンになってみて責任など重く感じたりはしていますか。

めちゃくちゃ重いです。でもそこは加藤選手がフォローしてくれているので本当に助かってます。

−前年最下位から優勝に駆け上がったチームにいた2人(※)は浮上の大きな原動力になりそうですね。

ルーキーを引っ張っていったり役割は多いですが、エースという部分は加藤選手に任せています。ここしっかり書いてくださいね。エースは加藤選手です。

※加藤選手(右)は昨年、2018年最下位だったスワローズ代表選手としてリーグ優勝 ©Nippon Professional Baseball ©Konami Digital Entertainment

エースの加藤選手と話し合って、そこにルーキー2人を巻き込んでいって、色々と意見を言い合えるチームにしていきたいです。

−交流戦に入って毛利選手が初勝利をあげた時に目を潤ませていましたが、あの時はどんな感情でしたか

良かったなと思いました。試合するまでプロリーグの難しさ、怖さを知らない状態でしたが、バファローズ戦で敗れてからプロリーグの難しさや負けたことの悔しさを分かってくれて、そこから新井選手の対策を自らしてくれた。負けた時に悔しがっている姿を近くで見ていたので、勝った時は良かったぁと思って、涙が出ましたね。

−若い選手が勝つと嬉しいという気持ちはよく分かります。

勝てなかった子が勝つと、ですね!

−敗戦をすぐに糧にできているところがすごいなと思います。少し早いかもしれませんが、優勝に向けての手応えなどはいかがですか。

可能性はあると思いますよ。第2節のバファローズ戦で躓きはしましたけど、結果的にはチームの成長につながりましたし、まだ全員1敗以下で早い段階で全員が勝利を挙げられている。みんなが勝つことができているというのは大きいですね。

−昨年はマリーンズでずっと一緒だった柳選手がいないですが、寂しさなどはありませんか。

精神安定剤的な意味合いで柳選手が手元に欲しいなぁとは思います。

−古巣のマリーンズと戦うとしたら柳選手と対戦したいというような気持ちはどうでしょうか。

柳選手に限らず、マリーンズとは戦いたくないです。チームで話し合って出るかどうかは決めますけど、お互いに手の内は知っているのでめちゃくちゃやりにくいですね。

−eドラフト会議では全体の1位指名にも関わらず、あまり注目を受けていないと嘆いている部分もありました。

初年度で4勝2敗という結果について安定した成績と言われたり…そういう運命なんですかね(笑)

−ドラフト前はライオンズに1位で指名されるだろうと、周りのプレイヤーは思っていました。

それが当たり前すぎて目立たなかったのかなと思います。ありがたいことではありますけども。そして脇選手(阪神)の5球団競合に持っていかれると(笑)。昨年も3球団競合でも(クジを引いた)里崎さんに持っていかれました。

−そこは優勝していけば、「優勝請負人」の称号もついてくると思いますよ。

2年連続で最下位のチームからのスタート。自分の性格としても下克上は好きなので、2年連続で最下位から優勝に導いたとなれば少しは目立てるのかなぁと思います(笑)。

−今後に向けて目標などを聞かせてください。

チームを上手くまとめてチームメイトが勝っていけるチームにすることが目標です。あわよくば個人として何かタイトルは欲しいですね。そしてチームとして優勝、日本一になりたいです。

−ぜひe日本シリーズで戦えるようにお互い頑張っていきましょう。

自分は阪神と戦いたいです(笑)。前年最下位同士のe日本シリーズを実現させたいと勝手に思っているので。

−(笑)ありがとうございました。

 

交流戦前節を終えた時点で2位と好位置につけている新生ライオンズ。2年連続の下克上を果たせるか、キャプテンの町田選手に注目だ。

 

(聞き手・文/eBASEBALLプロプレイヤー・菅原翔太)