クラーク記念国際の佐々木啓司監督が語る指導論、第2回は「運動能力」 時代が変われば、グラウンドで白球を追う球児たちも変わる。そんな彼らの“力量”には変化があるのだろうか--。駒大岩見沢を率いて春8回、夏4回の甲子園出場に導き、現在率いるクラ…

クラーク記念国際の佐々木啓司監督が語る指導論、第2回は「運動能力」

 時代が変われば、グラウンドで白球を追う球児たちも変わる。そんな彼らの“力量”には変化があるのだろうか--。駒大岩見沢を率いて春8回、夏4回の甲子園出場に導き、現在率いるクラーク記念国際でも夏1回の経験を持つ佐々木啓司監督が指導論を語る連載企画。全4回の第2回は「運動能力」について語る。

 指導歴42年の佐々木監督は、駒大岩見沢時代から同じ項目の体力測定を実施している。様々なトレーニング方法が考案されている近年。選手の数値も向上しているのかと思いきや、歴代最高値を叩き出したのは、春の選抜大会に初出場した1983年のチームだという。

 当時27歳の青年監督は雪国のハンディにも負けず、ヒグマ打線を率いて甲子園初出場で8強入りを果たした。「あのチームに今の指導をしていたらすごいことになっていた。だから、指導者は勉強しなきゃいけないんだ」と自らへの戒めを込めて語る。それほど、潜在能力の高い集団だった。

「あの代は走っても跳んでも上だった。最近は体の使い方が不器用な子が多いかな。それは小さいころに体を動かす機会が減ったから。この十年来、俺は小学校に体育の先生が必要なんじゃないかと考え、そういう話をしている。小学校の先生もオールマイティじゃないからね」

 小さな怪我も増加傾向にあるという。「無防備、無意識のものが多い」とその原因にも変化を感じる。練習中は、細心の注意を払って選手の動きに目を配る。

「2年の秋に勝つには、1年の冬場を完全に仕上げて新年を迎えないと」

 駒大岩見沢時代は雪国のハンディを逆手にとって、冬期間は徹底的なウエートトレーニングと打撃練習で強力打線を作り上げた。8回の選抜出場が示すように、秋季大会を得意とし、そのチームづくりは前年の冬から始まっていた。「(高校)2年の秋に勝つには、1年の冬場を完全に仕上げて、レベルを上げて新年を迎えないといけない」と積み上げたノウハウがある。

 2014年に誕生したクラーク記念国際は16年夏の甲子園に初出場し、今夏の北北海道大会も優勝するなど夏の大会で高い勝率を誇る一方、秋は全道大会に2回出場していずれも初戦敗退した。昔は得意だった秋の大会で苦戦が続き、3年生が抜けた後の新チームづくりに頭を悩ませている。

「負けるということは、うちはトータル的にできあがっていなかったということ。精神的なものを含めて」。その原因について佐々木監督は身体能力や技術ではなく、精神面にあると見ている。次回は精神面、特に競争意識の変化について取り上げる。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)