第3回は3年生の実力派右腕コンビが登場する。徳山壮磨(スポ3=大阪桐蔭)は今春2試合に先発して16回を投げ、防御率0.00をたたき出して最優秀防御率を獲得。西垣雅矢(スポ3=兵庫・報徳学園)は東大戦で5回2安打無失点と好投し、1年ぶりの白…

 第3回は3年生の実力派右腕コンビが登場する。徳山壮磨(スポ3=大阪桐蔭)は今春2試合に先発して16回を投げ、防御率0.00をたたき出して最優秀防御率を獲得。西垣雅矢(スポ3=兵庫・報徳学園)は東大戦で5回2安打無失点と好投し、1年ぶりの白星を手にした。東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)でも投手陣の中核を担うであろうこの2人に、様々なお話を伺った。

※この取材は9月5日にオンラインで行われたものです。

「調子が悪いながらも一個一個アウトを積み重ねられた」 (徳山)


昨季の立大戦で1安打完封勝利を収めた徳山(左)

--チームとして春季リーグ戦を振り返っていかがでしょうか

西垣 タイブレークを2つ落としてしまい、やっぱり勝ち切れないというのが一番の課題だと5試合を通じて思いました。

徳山 このリーグ戦ではチーム打率・防御率が1位で、力的には六大学でも上の方だと思うのですが、ここ一番という時の弱さで勝つことができなかったのでそこがチームとして足りないところだなと思います。

--チーム防御率が1位という話がありましたが、投手陣全体として振り返っていかがですか

西垣 投手陣全体としてフォアボールが減っていて、無駄な出塁をさせなかったところが得点を許さなかった要因だと考えています。それが一番の収穫だと思います。

徳山 先発陣の早川さん(隆久主将、スポ4=千葉・木更津総合)、自分、西垣の3人がしっかり5イニング以上の長いイニングを投げられて、リリーフ陣にも負荷をかけずに頑張れていたので、先発陣が役割をしっかり果たしたというのが大きかったのかなと思います。

--徳山選手にお聞きします。ご自身の春季リーグ戦をざっくりと振り返っていかがですか

徳山 リーグ戦前は調子が悪く、どうなるのかなと思いながら不安な感じでリーグ戦に入りました。リーグ戦でも本調子ではなかったのですが、自分なりに上手く岩本と考えながら投球できたので、そこが無失点につながったのかなと思います。

--最優秀防御率のタイトルも取りましたが、手にしたときはいかがでしたか

徳山 (今春は)試合数が少なかったというところでまだまだかなと思うのですが、もらえたことは素直にうれしいですし、秋にもまた取れるように頑張りたいです。

--調子があまり良くなかったという話がありましたが、その中でもしっかり抑えられたというところで、昨年よりも成長を感じられた部分はありましたか

徳山 今回に関しては無駄な球が去年と比べて減ったのかなと思っています。昨年だと高めに抜ける球とか多かったですし、そういう面では悪いながらも低めに丁寧に投げることで打たせて取ったりだとか、一個一個アウトを積み重ねられたので、そこは去年よりも成長した点だと思います。

--春季リーグ戦が始まる前、自粛期間中にはどのような練習に取り組んでいましたか

徳山 グラウンドも使えず限られた場所しかないという状況で、寮の外を走るなどの地味なことしかできなかったのですが、フォームづくりを中心に毎日積み重ねてやってきていたので、その部分ではやってきたことが無駄ではなかったのだなと思います。

--フォームの試行錯誤というところで、それがなかなかうまくオープン戦の再開後に結果に結びつかなくて悩まれたと仰っていましたが、特に悩まれた点はどういうところですか

徳山 フォームを一から見直すというところで、下半身の動きから上半身への連動という面で取り組んでいて。なかなかそのタイミングが合わなかったり、リリースの瞬間で力が入っていないことが多かったりして、どうしたらいいのだろうと思いながらやっていました。それが今、徐々につながってきてはいます。秋にはしっかり完璧な状態で迎えられるように頑張りたいです。

--徐々に良くなってきていると仰っていましたが、今は100%のうち何%くらいでしょうか

徳山 そうですね…、65%くらいです。

--残りの35%はどういうところですか

徳山 まだまだばらつきがあるので、もっと上を求めるのであれば、現状に満足せず、そういう足りないところを突き詰めてやっていきたいです。

--直近の中央学院大とのオープン戦で登板がありましたが(6回1失点)、振り返っていかがですか

徳山 自分的には全然よくなかったです。相手がそこまで強い相手ではなかったから抑えられたというだけで、社会人とかより強いところだと打たれていたと思います。そこのレベルを抑えられるような投球を常にできるようにやっていきたいです。

--次に西垣選手にお聞きします。春季リーグ戦を個人で振り返っていかがですか

西垣 自分は東大戦しか投げていないのですが、その中でしっかり5イニング抑えられたというのは良かったと思います。自分が任せられたところを抑えられてよかったです。

--東大戦で白星を久しぶりに挙げられたと思うのですが、それについてどうお感じですか

西垣 去年の秋のリーグは先発ではなく、リリーフとう立場でやっていて、白星というよりはチームにいい流れを持っていく投球をするというのが目標だったので、勝ち星はそこまで意識していませんでした。(東大戦では)先発を任されて、長いイニングを投げられた結果勝ち星につながったので、それが良かったかなと思います。

--東大戦で先発した際に感じた、ご自身のよかった点と課題点がありましたら教えてください

西垣 左バッターのインコースにしっかり真っすぐを投げ込めたというのと、追い込んでからカウント球と決め球のフォークがコントロール良く投げられた点がいい点でした。課題としては右バッターのアウトコースを狙った球が中にシュートして入ることがあるので、そこをしっかり投げ切ることができていないというのが課題です。

--コロナの自粛期間中に強化した部分はどういったところですか

西垣 徳山と一緒になるのですが、フォームを一から見つめなおして、ゼロからつくり直しました。フォームの改善に今まで時間を割けていなかったので、自粛期間の時間がある時に取り組めてよかったと思います。

--自粛期間後に野球への意識が変化したことはありましたか

西垣 自粛期間中は練習できる場所も時間も限られていたので、再開した後は野球ができるということは普通ではないのだなと改めて感じました。

--前回12月の対談では、ストレートを突き詰めたいと仰られていましたが、今はどのくらい成長したと感じていますか

西垣 少しは力強くなったと思うのですが、回転の質だったり、ボールの質がまだまだなので、引き続きストレートにはこだわっていきたいです。

--そのストレートは100%のうち、何%の完成度だと感じていますか

西垣 40%です。体力面の課題や技術的にもまだばらつきがあるので、そういうところを無くしていきたいということでこの数字です。

--2巡目に捉えられやすいという点も前回課題だと話されていましたが、現在はどうお感じですか

西垣 前は1巡目をカットボールとフォークに頼っていて、次の2巡目は投げる球がなくなってしまっていたのですが、最近は1巡目にストレートをしっかり意識付けさせることで2巡目を前よりも打ち取りやすくできているかなと思います。

--今後、秋に向けて詰めていきたい点はどんなところですか

西垣 やはり自分はストレートが課題だと思っているので、ストレートのコントロールと質を向上させていきたいです。

自粛期間にハマっていたことは・・・


取材に答える徳山(右)と西垣

--ここからは少しプライベートに関することを伺います。春学期はオンライン授業でしたが、いかがでしたか

徳山 フル単でした!

西垣 自分もフル単でした。

--ゼミなどはどのようなことをされているのでしょうか

西垣 動作解析のゼミに入っています。

徳山 同じです。

西垣 徳山と同じゼミです。

--どのようなことを学ぶのでしょうか

徳山 早稲田を知るって感じです(笑)。

西垣 動作解析のゼミなのですが、まだそんなに動作解析はしていなくて、早稲田の校歌とか学んだりしています(笑)。

--早川選手などと同じゼミでしょうか

西垣 そうです、葛西(順一)先生のゼミです。

--野球部で所属されている方は多いのでしょうか

徳山 そうですね、自分たちの代は岩本と鈴木(萌斗、スポ3=栃木・作新学院)も入っています。

--自粛期間にハマっていたことはありましたか

西垣 自分はコーヒーメーカーを買って、毎朝コーヒーを飲んでいたのですが、自粛が明けて飽きちゃいました。

徳山 (笑)。

--どうしてコーヒーメーカーを買おうと思ったのでしょうか

西垣 ちょっと調子に乗って(笑)。あまり深い意味はないです。

--コーヒーメーカーはもともと安部寮にはないのでしょうか

西垣 マネジャールームにはあるのですが、自分の部屋に欲しくて個人的に購入しました。

--徳山選手はいかがですか

徳山 自分の場合は今もそうですがドラマを見るのが好きなので、ドラマを見ていましたね。

--どのようなドラマを見られていますか

徳山 今だと日曜日の『親バカ青春白書』と『アンサング・シンデレラ』とか、『MIU404』とかの3つくらいを見ていますね。

--チームメートで自粛期間におもしろい趣味をされていた方はいらっしゃいましたか

西垣 岩本がボクシングのセットみたいなのを買って、トレーニングがてらボクシングのミット打ちなどをしていました。

--ミットを持つ係は誰がしていたのでしょうか

西垣 あれは尾﨑(拓海、スポ3=宮城・仙台育英)と田中星流(スポ2=宮城・仙台育英)が受けていました。

--岩本選手がそのトレーニングを始めたきっかけは何だったのでしょうか

徳山 いやー、わからないですね。何かメジャーリーガーのチャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)がやっていたから真似したらしいです(笑)。

--以前の対談で西垣選手と岩本選手が「美味しいものを食べるのが好き」とおっしゃっていましたが、最近食べた美味しいものはありますか

西垣 おととい寮で食べた油淋鶏が美味しかったですね。

徳山 この前お昼にかき氷が寮で出て、それは2杯食べました(笑)。

「4年生と一緒に優勝したい」 (西垣)


昨季の東大戦で力投する西垣

--最後に秋季リーグ戦についてです。開幕まであと2週間程度(取材日時点)ですが、現在はどのような練習をされていますか

西垣 春のリーグ戦が終わってからピッチャー陣として走り込みの期間をつくっていて、リーグ戦を乗り切れるように基礎体力の強化から取り組んでいます。

徳山 自分も同じく走り込みをしています。やはりリーグ戦となると先発は長いイニングを投げないといけないので、「これだけやったんだ」という自信を持ってリーグ戦に入るために、今は追い込んでいる時期です。

--例年と異なるスケジュールですが、調整への影響はありますか

西垣 自分は特に感じていません。疲労をしっかり抜いてから追い込みをして、また(練習の強度を)落とす時期に入っていくと思うので、特に影響はないと思います。

徳山 自分も特に影響はないですね。いつも通り取り組めているので変わりないです。

--今季は4年生と戦う最後のシーズンになりますが、4年生への思いはありますか

西垣 同じピッチャー陣の早川さんと今西さん(拓弥、スポ4=広島・広陵)というのは下級生の頃からすごく面倒を見てもらっていて、その先輩たちとの最後のリーグ戦というのは「早いな」と感じています。

徳山 自分は1個上の先輩たちをずっと見ながらやってきて、これが最後ということなのでこの秋は4年生のために戦っていきたいです。優勝から遠ざかっているので、何とか自分たち下の学年の力で先輩に貢献できるように頑張りたいなと思います。

--4年生との一番の思い出はありますか

徳山 普段寮生活で暮らしていて、楽しいことがいっぱいあるので、それが思い出なのかなという感じですね。去年やったクリスマス会は楽しかったですね。

--どんな会だったのでしょうか

西垣 早川さんが企画してくれて、早川さんの家がコストコ会員なので、チーズケーキとか買ってきてくれました。みんなでプレゼント交換をしたりビンゴ大会をしたりという普通のクリスマスパーティーだったのですが、今まで寮内の行事ごととかはなかったので、すごく楽しかったですし盛り上がりました。

--秋季リーグ戦の個人目標はありますか

西垣 自分は先発できるかはわからないのですが、与えられたポジションでしっかりチームのために結果を残すというのが大事だと思うので、リリーフをするなら厳しい場面でマウンドに上がっても絶対に点をやらないというのが目標です。

徳山 自分が投げた試合で勝ちにつながる投球をするのが目標で、その中で0点に抑えていって、また最優秀防御率のタイトルを狙いたいなと思います。

--最後に秋に向けての意気込みをお願いします

西垣 4年生は一番長く関わってきた先輩たちなので、恩返しをするためにも自分たちがしっかり戦力になって、4年生と一緒に優勝したいなと思います。

徳山 本当に優勝するしかないと思うので、それに向かって個人としては毎回ベストピッチをして、チームとしては全勝できるように頑張りたいなと思います。

--ありがとうございました!

(取材・編集 池田有輝、倉持七海)

◆徳山壮磨(とくやま・そうま)

1999年(平11)6月6日生まれ。183センチ、82キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部3年。投手。右投右打。春は調子が悪い中でも結果を残した徳山選手。秋はさらに状態を上げ、『圧倒的な投球』で2季連続の最優秀防御率を狙います!

◆西垣雅矢(にしがき・まさや)

1999年(平11)6月21日生まれ。183センチ、82キロ。兵庫・報徳学園高出身。スポーツ科学部3年。投手。右投左打。先発、リリーフのどちらを任されてもチームに貢献できるようにしたいと話す西垣選手。投手陣の核を担う存在としてさらなる飛躍に注目です!