8月10日、新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていた東京六大学野球春季リーグが1回戦総当たり制で開幕。観客も3000人を上限として入れ、応援団がいない中で拍手が声援代わりに惜しみなく送られた。

接戦を演出した東大の中井。リーグ戦初出場でその打棒を発揮した

 試合が終わると複数の東大選手が涙を流した。それだけ「惜しい」、勝利が近づいた試合だった。
初回から慶大が若林将平(3年・履正社)のタイムリーと正木智也(3年・慶應義塾)の犠牲フライで2点を先制し、3回に主将を務める瀬戸西純(4年・慶應義塾)がリーグ戦初本塁打を放って3点をリード許したが、ここから東大が粘る。
6回に、昨冬の侍ジャパン大学代表合宿にも招集された石元悠一(4年・桐朋)が2点タイムリーを放ち1点差に。慶大先発・関根智輝(4年・都立城東)をマウンドから引きずり下ろした。
さらに続く7回。慶大3番手の長谷部銀次(4年・中京大中京)から代打・水越健大(3年・明和)の同点打を放つ。井出峻監督から「速球に負けないので」と起用されていた途中出場の中井徹哉(2年・土浦一)が「ストレートだけを張っていました」とライト前に弾き返して、ついに勝ち越しに成功した。

そして9回、マウンドには7回から救援していた平山皓太(4年・栄光学園)。「もう1イニング行ける力はあったと思うのですが精神的なものですかね」と井出監督が悔やんだように、四球や自身の送球失策2つで満塁のピンチを作ると、その後見逃し三振を奪うが、その後に押し出し四球と下山悠介(2年・慶應義塾)のレフト頭上を超えるサヨナラ打で打たれて4対5と敗戦。

一時勝ち越しとなる一打を放つなど3打数2安打の中井が「負けていてもひっくり返せることが分かったので、今度は勝ちきりたいです」と語ったように、この試合で多くの収穫と課題を得た。この開幕戦を糧に東大が短期決戦の春季リーグをかき回す存在になるかもしれない。

悔しそうな東大の選手たち

■東京大vs慶應義塾大
東大 000002200=4
慶大 201000002x=5
【東】井澤、小宗、●平山-大音
【慶】関根、関谷、長谷部、小林綾、○増居-福井
本塁打:瀬戸西(3回・ソロ)

◎慶大・堀井哲也監督
「リーグ戦ならではの重みは想像以上でした。東大さんの高い集中力を相手によくひっくり返したなと思います。短期決戦なので後の試合のことは考えず、調子の良い選手をいかに投入していくか。私の見立てと選手の思いが一致すれば今日のような試合で勝っていけると思います」

◎慶大・瀬戸西純主将(4年・慶應義塾)
「初戦の難しさを想像以上に痛感しました。(今年からリーグ戦に出る)新しい選手もいたので硬さがありました。他のリーグが開催されない中で開催していただいたので嬉しいです。感謝の思いを持って戦っていきます」

文・写真=高木遊