8月10日、新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていた東京六大学野球春季リーグが1回戦総当たり制で開幕し、第2試合では早大が明大に5対1で快勝した。多数のNPB球団スカウトも見守る中で好投を見せた早川 エースそして主将としてのあるべ…

 8月10日、新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていた東京六大学野球春季リーグが1回戦総当たり制で開幕し、第2試合では早大が明大に5対1で快勝した。

多数のNPB球団スカウトも見守る中で好投を見せた早川

 エースそして主将としてのあるべき姿を試合の最初から最後まで見せて、早川隆久(4年・木更津総合)が早大に開幕戦勝利をもたらした。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって開催が危ぶまれた春季リーグ。他25連盟が中止を余儀なくされる中で唯一開催ができたことに「まずこの神宮球場で試合ができることに感謝し、一戦必勝の姿勢で六大学野球の素晴らしさを見せよう」という思いをチームメートとも共有してマウンドへ上がった。

 初回から自己最速となる155キロを計測するなど幸先の良いスタートを切ると、2回に1点こそ失うものの、以降は「力みからボールが浮いていたので、低めに集めることや高めも上手く使うことを意識しました」と冷静に投球を組み立ていき、アウトを積み重ねた。また、この日はカットボールも冴えるなど、力強いストレートと変化球のコンビネーションで少ない球数で終盤まで試合を運んだ。
 これに応えるように打線も蛭間拓哉(2年・浦和学院)の2打席連続本塁打などで5点を援護。他の投手の起用も考えたという小宮山悟監督だったが「代えようかなというイニングでスイスイと行きましたし球数も少なかった。行けますという本人のやる気を削いでもいけないので」と続投を決めた。

 そして早川は打者としても「背番号10を背負う(主将である)限りチームの鑑でないといけない」と、8回2死走者なしからのセカンドゴロでも全力疾走。自ら模範を示し、直後の登板でもきっちりと無失点で試合を締めた。

 頼もしい大黒柱の姿がこれ以上ない形でチームに勢いをもたらした。狙うは2015年秋以来の天皇杯奪還(優勝)だ。

侍ジャパンU-18代表経験もある蛭間がその能力を遺憾無く発揮した

■明治大vs早稲田大
明大 010000000=1
早大 10000301X=5
【明】●竹田、石毛、西城-篠原
【早】○早川-岩本
本塁打:蛭間(6回3ラン、8回ソロ)

◎早稲田大・小宮山悟監督
「オープン戦で打てていなかったのですが、良い形で勝つことができました。様々な方のご尽力に感謝します。リーグ戦があろうが無かろうが自己研鑽をしてきた選手の努力が皆さんに分かってもらえる場ができたことを嬉しく思います」

◎明大・田中武宏監督
「神宮で試合ができること、他25リーグが開催できない中で開催に尽力していただいた方々に感謝いたします。また、各大学の理解もありましたし、暑い中でも多くのお客様に来ていただきました。明日もまた試合(立大戦)がありますので明治らしい野球を見せたいです」

◎明大・公家響主将(4年・横浜)
「神宮で試合をすることが待ち遠しい気持ちでした。野球がなかなか思うようにできない時期には、あらためて相手がいてこそのスポーツだと実感しました。当たり前ではない野球ができる喜びを感じ初心に戻ってプレーしていきます」

文・写真=高木遊