ロジャー・フェデラー(スイス)のコーチを務めるイバン・ルビチッチ氏が、将来の計画を明かした。ルビチッチ氏は、フェデラーとの仕事に対する献身について「疑念の余地がない」と語り、彼とのパートナーシ…

ロジャー・フェデラー(スイス)のコーチを務めるイバン・ルビチッチ氏が、将来の計画を明かした。ルビチッチ氏は、フェデラーとの仕事に対する献身について「疑念の余地がない」と語り、彼とのパートナーシップが終了したらコーチ業から退くと言い切った。伊ニュースサイトUBI Tennisが伝えている。【動画】絶好調フェデラーの「神モード」

41歳でクロアチア出身のルビチッチ氏は2016年からフェデラーを支えるチームの一員であるが、すでに設立したベンチャー企業に専心することを見据えている。彼は「プロスポーツ選手がトレーニングとそれぞれの分野でのパフォーマンスだけに集中できるように、それ以外のキャリアのあらゆる事柄に対処する」ことに注力する代理店LJスポーツ・グループの共同創業者だ。この会社の顧客には、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)やマルタ・コスチュク(ウクライナ)がいる。

「ロジャーは、私がコーチする最後の選手になる。ロジャーとの仕事が終わった後は、この事業に専念することになる」とルビチッチ氏は語った。

「でも、ロジャーのコーチとしての仕事はまだ続くよ。彼との仕事には疑念の余地がなく、そうすることに何の問題もない。彼が現役を終えたら、私は自分が幸せを感じられることに100%身を捧げることができる。そうなれば、私たちが判断する最良の方法で選手たちを支援することができるだろう。今のところ、コーチ業についてはロジャー一筋だ。それ以外はマーケティングやスポンサーに関する仕事をしているよ」

フェデラーは2度目となる膝の手術を受けて2020年シーズンを離脱したため、ルビチッチ氏は今年、予定していたよりも多くの時間を自身の会社の仕事に使うことができるだろう。フェデラーが最後に出場した公式戦は1月に行われた「全豪オープン」だ。

ツアーから長く離れることになるが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響でATPのランキング規定に変更があり、フェデラーのランキングが急降下することはない。選手のランキングは、これまで過去12ヶ月の成績で決められていたが、現在は過去22ヶ月に行われた大会のうち良い成績を挙げた18大会の結果によって決まる。

そしてフェデラーは来年の頭には試合に復帰すると決めている。その時、彼は39歳。現在、フェデラーは男子の世界ランキング200位内ではイボ・カルロビッチ(クロアチア)に次いで2番目に年長の選手だ。シーズン途中で離脱したのは2016年以来だが、この時は翌年復帰直後に「全豪オープン」で優勝を果たし、常勝街道に舞い戻った。

コーチであるルビチッチ氏は、「すべて制御できている。次のシーズンに向けて準備している。すべてが2017年のようになるのが望みであり夢だけれど、あらゆる状況が前とは違っていることは明らかだ。いずれにしても、私たちは一度良い経験をしているから、みんな前向きだよ」と語った。

フェデラーは現在、グランドスラム男子シングルスで20度という最多優勝記録を保持している。ただし、ライバルであるラファエル・ナダル(スペイン)が今年「全米オープン」と「全仏オープン」の両方で優勝すれば、この記録を超えることになる。ビッグ3で最年少であるノバク・ジョコビッチ(セルビア)も、グランドスラム優勝回数17回で、差を縮めつつある。

フェデラーの記録がどうなろうと、ルビチッチ氏はそこに注目が集まりすぎていると考えている。現在世界4位のフェデラーは、テニスが大好きだからプレーを続けているという。フェデラーが最後にグランドスラムで優勝したのは2018年の「全豪オープン」で、その後は決勝に進出したのも1度(2019年「ウィンブルドン」)にとどまっている。

「みんなグランドスラムのタイトルに少々注目しすぎている。グランドスラムはテニス界最大の大会ではあるが、それだけに価値があるということではない。それによってあらゆることを測ることはできるが、僕らはそこまでグランドスラムに入れ込んではいない。ロジャーの場合はテニスを愛しているから、できるだけ長くプレーを続けるだろう」

「我々は何だって結果を得るためにするが、ロジャーが今もプレーを続けていて、プレーしたいと思う理由はそれだけではない。けれど、それを理解できない人もいるのは明らかだ」

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「ウィンブルドン」でのフェデラー(左)とルビチッチ(右)

(Photo by Laurence Griffiths/Getty Images)