11月21日から24日にかけて、全日本ボクシング選手権大会が鹿児島県で開催された。5-0で判定勝ちを収め、49kg級を制したのは川谷剛史選手(東洋大)だ。 「足を使って距離を取るプレースタイルが自分の持ち味」という彼のボクシング人生が始ま…

11月21日から24日にかけて、全日本ボクシング選手権大会が鹿児島県で開催された。5-0で判定勝ちを収め、49kg級を制したのは川谷剛史選手(東洋大)だ。

「足を使って距離を取るプレースタイルが自分の持ち味」という彼のボクシング人生が始まったのは、小学生の頃。「父に半ば強制的にやらされて、辞めたいと思うことは何度もあった。最初は勝てなかったし強くなれている実感もなかった。でも、何も極めないまま辞めるなんてダサいと思った」。競技が好きというよりも、その負けず嫌いな性格が幼い彼をボクシングに引きずり込んだ。「昔から痛いのが嫌なので、パンチを受けるのが好きじゃない。パンチをもらわないためにはどうしたら考え、相手が嫌がることを続けて自分のプレースタイルを作る」。

会場には、地元である福岡県から両親も駆けつけた。大学入学を機に親元を離れたが、空港に向かう道中で父が泣いてしまったほど家族は強い絆で結ばれている。「初めて実家を出た時は心細かった。今までの当たり前がなくなるので自分も寂しかったけれど、自分がいなくなった後の家族のことを考えると、何とも言えない気持ちになった」。あれから2年。今季負けなしの男が、誰よりも応援してくれる一番のファンに最高のプレゼントを届けた。