東京五輪を目指す若きフットボーラーたち(8)
サンフレッチェ広島・森島司@後編

 今や、サンフレッチェ広島の攻撃に欠かせないタレント--。そう言ってもいいだろう。シャドーを務める森島司のことだ。今シーズンのブレイクに迫った前編に続き、後編ではふたりの兄の影響でサッカーを始め、名古屋グランパスU-15、四日市中央工業高校へ辿った歩みと、U-22日本代表のチームメイトについて訊いた。

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MF森島司(もりしま・つかさ)1997年4月25日、三重県生まれ。四日市中央工高出身

-- ふたりのお兄さんもサッカーをやっていたそうですが、サッカーを始めたきっかけは、やはりお兄さんたちの影響ですか?

森島司(以下:森島) そうですね。兄と同じ三重の愛宕(あたご)サッカー少年団に入っていて、父が監督でした。

-- 遠藤保仁選手も、本田圭佑選手も、兄さんと一緒にサッカーをやって敵わなくて、悔しくてうまくなったと言っています。森島選手も?

森島 いや、悔しいとか、憧れていたとか、そういうのはなかったですね。年齢も違うからしょうがないなって(笑)。

-- その後、名古屋グランパスのU-15に入りました。どういうきっかけで?

森島 練習参加させてもらって、受かったんです。チームメイトには杉森考起(名古屋グランパス)、森晃太(ヴァンフォーレ甲府)、吹ヶ徳喜(ふけ・のりき/現阪南大。来シーズンの徳島ヴォルティス入りが内定)とか。みんな、うまかったです。みんな、めっちゃ考えてプレーしているなって思いました。

 監督も自分に合った方で、ここで戦術などを教えてもらいました。考えてプレーすることができるようになったのは、間違いなくグランパスのおかげですね。いい環境のなかで、うまいチームメイトと一緒にやって、自分もうまくなりました。

-- それなのに、名古屋をやめて、高校サッカーに行った。

森島 兄も高校サッカーでしたし、一番上の兄は四中工(四日市中央工高)に行っていたので。それに、昔から家族で高校選手権を観に行っていたんですよね。

 すごく覚えているのが、東京・西が丘で行なわれた青森山田と広島皆実の試合。青森山田には柴崎岳さん(デポルティボ・ラ・コルーニャ)がいて、「この人、うまいな」って思いました。のちのちに聞いたら、広島皆実にはテツくん(渡大生)がいたらしいんですけど、全然覚えてない(笑)。

 中学2年の春ごろかな、グランパスで面談があって、ユースに上がるか、それとも高校サッカーに行くのか……そこで、「四中工に行きたいと思っています」と言ったんです。

-- それで名古屋U-15を途中でやめて、地元のクラブチームに入ったんですね。

森島 そうですね。三重北勢FCというクラブに入りました。そうしたら、三重にプロサッカークラブを作るという話になって、ヴィアティン三重(現在JFLに所属)が誕生して、三重北勢FCがヴィアティンの下部組織になったんです。

「ヴィアティン」って、オランダ語で14番という意味です。ヨハン・クライフを意識していて、だから14番(クライフの背番号)がそのクラブのエース番号で、僕もつけさせてもらいました。14番はそれ以来、気に入って、四中工でも3年間、サンフレでも去年から付けさせてもらっています。

-- 四中工では1年からレギュラーで、高校選手権にも出ていましたね。

森島 でも、1年の頃は先輩についていくので必死でした。もうひとりのボランチは3年生の先輩だったんですけど、「モリシ、上がっていいよ」っていう感じで気を遣ってもらったおかげで、特徴を出すことができた。1年の頃は自分の好きなことばかりやっていたから、いいプレーができたんじゃないかって思います。

-- 一方で2年、3年はいい思い出があまりないのでは?

森島 たしかに(苦笑)。2年、3年の頃は、自分のこととチーム全体のこと、両方とも意識しないといけなくて、難しかったですね。今、思えば能力も低くて、あまりうまくいかなかった。2年の予選決勝では僕のパスミスから点を奪われて、そこから思考停止。あとは覚えてないです(苦笑)。3年も初戦敗退でしたからね。

 でも、四中工で鍛えられたので、行ってよかったと思います。「守備も攻撃も全部、自分がやらないと」っていう気持ちがあったし、3年の頃はキャプテンだったので、なおさらやらないと……と思っていて。そういう気持ちがあったから、うまくなったのかなと思います。

-- 再び東京五輪の話に戻りますが、さきほど名前の出た柴崎選手がオーバーエイジで出場するのではないか、という話もあります。

森島 一緒にやってみたいですけど、あまり「柴崎さん、柴崎さん」って言いたくないんですよね。

-- どうして?

森島 会ったら気まずいじゃないですか。

-- アハハハ(笑)。

森島 人見知りなんですよ。だから、代表でもあまり友だちがいなくて(苦笑)。(広島でチームメイトの)まっちゃん(松本泰志)も他のチームに仲のいい選手がいるし。藤谷壮(ヴィッセル神戸)くらいですね、めちゃめちゃ仲がいいのは。

-- どういうつながりなんですか?

森島 中学時代のトレセンで初めて会って。出身が三重と愛知なので。当時は年に2、3回会うくらいだったんですけど、代表で一緒になってから仲よくなって。今はオフとかに遊んだり、連絡を取り合ったり。あとは(前田)大然(マリティモ)も。大然は結婚式にも呼んでもらったので、このふたりとはすごく仲がいいです。

-- 前田選手は今、ポルトガルリーグでプレーしていますが、海外でのプレーに興味はないんですか?

森島 今はないですけど……どうなんですかね。そのうち、芽生えたりするんじゃないですか。ただ、今はサンフレで定位置を守りたいし、サンフレのメンバーとやるのが一番楽しい。レベルも高いですし。だから、代表に呼ばれたとして、その間にサンフレでの定位置を失うことになるじゃないかっていう不安もあります。

-- 広島は今シーズン、同世代の選手たちが多く出場しているので、「俺たちが広島を引っ張っていくんだ」という雰囲気になっています?

森島 みんながどう考えているかはわからないですけど、少なくとも僕は試合に出ることに必死です。出させてもらえるのは光栄だと思っているので、出ている以上は結果を残さないといけないなって思っています。だから、世代交代とか、僕たちの世代が、とかはあまり考えていないですね。

-- 最後に、残り少なくなってきましたが、今シーズンをどういうシーズンにしたいですか?

森島 試合に出続けて、結果を残して、ACL出場権を掴みたいなと思います。ACLにはやっぱり出たいし、海外のチームともっと対戦したい。そこをモチベーションに、しっかりやっていきたいと思います。

【profile】
森島司(もりしま・つかさ)
1997年4月25日生まれ、三重県鈴鹿市出身。2016年、四日市中央工業高校からサンフレッチェ広島に入団する。2017年、開幕戦でJリーグ初先発を果たし、同年5月にはプロ初ゴールを記録。2017年にはU-20ワールドカップメンバーに選出された。ポジション=MF。175cm、66kg。