JR東日本カップ2019 第93回関東大学リーグ戦 第13節早大00-00-00東洋大 関東大学リーグ戦(リーグ戦)後期開幕戦で大敗を喫した筑波大戦から一週間が経ち、降格圏内に位置する東洋大との戦いに挑んだ。ここで勝ち点3を得ることが早大の…

JR東日本カップ2019 第93回関東大学リーグ戦 第13節
早大0-0
0-0
東洋大

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)後期開幕戦で大敗を喫した筑波大戦から一週間が経ち、降格圏内に位置する東洋大との戦いに挑んだ。ここで勝ち点3を得ることが早大の1部残留に大きく関わってくる大事な一戦。前半はボールを前線に大きく蹴り込み得点を狙っていくが、チャンスを決め切れずスコアレスのまま後半へ。両チーム激しいプレーが続き、74分に退場警告を受けた早大は数的不利になるも無失点のまま試合を終え、勝ち点1を手に入れた。


リーグ戦デビュー戦となった今井

 立ち上がり早々東洋大にCKを与えてしまうが、前節の反省を生かした集中力の高い守備で最初のピンチは難なく防いだ。DF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)とDF工藤泰平(スポ3=神奈川・日大藤沢)らを中心に声を掛け合うプレーが多く見られ、良い雰囲気でゲームが進んでいく。エリア内に侵入されても、けがから復帰したGK上川琢(スポ2=湘南ベルマーレユース)が前めのポジショニングでセービングするなどピンチの芽を摘む。両チーム一瞬の油断も許されない展開にファウルなどでゲームが中断する場面も多く、激しい戦いに。33分にはMF牧野潤(スポ4=JFAアカデミー福島)が足元にきたボールをダイレクトで打つも枠外で得点にはならない。その直後にはMF栗島健太(スポ4=千葉・流通経大柏)が1対1でGKをかわしシュートを打つも、バーに当たってこのチャンスも得点にはならず。41分にはこぼれ球を東洋大の桑原遥(3年)に拾われ、強烈なボレーシュートを打たれたがこれを上川が見事にセービング。チャンスを決め切れない展開が両チーム共に続き焦りが見え始める中前半は終了。


攻守にわたって貢献した栗島

 後半に入り直後にリーグ戦デビューとなったFW今井悠太郎(文構=東京・高輪)の裏へボールが入るも最初のチャンスはものにできず。しかしその後も最終ラインから前線にボールが供給され、確実に良い流れで試合は進んでいく。59分に大桃からライナーの鋭いパスをFW藤沢和也(社4=東京・早実)がFW加藤拓己(スポ2=山梨学院)に落とし、ミドルシュートを打つが枠外へ。もどかしい展開の中、藤沢がレッドカードを受け早大は残りの15分を10人で戦うことに。しかし動じることなく全員で自分たちのやるべきことを確認し合い、勝利のためにより一層気合いが入る。MF金田拓海副将(スポ4=ヴィッセル神戸U18)が中盤で東洋大に素早いプレスをかけ、前向きでボールを持つことが増え、ゴールに近づくプレーが徐々に増えていく。しかし東洋大も集中力を切らさず、シュートの一歩前でボールを奪われてしまう。アディショナルタイムに突入し得たFKでは加藤がミドルシュートを打つものの、これもネットを揺らすことができない。最後は東洋大の桑原がゴール前でクロスを受けて触るがなんとかピンチを回避し、ここで試合終了のホイッスル。

 自分たちにベクトルを向け、プレー面だけでなく挨拶の徹底など気持ちの面でも変化しようと取り組んできたこの一週間。数的不利の状況下でも無失点で勝ち点1を得ることができたが、同時に無得点という現実に向き合う必要もある。チャンスを決め切ることができなければ今後、より厳しい状況に陥るだろう。1部残留のために掲げられた後期15ポイントという目標を達成するべく、次節こそは勝ち点3を得たい。


スターティングイレブン

 

(記事 大山遼佳、写真 森迫雄介、橋口遼太郎)


早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK31上川 琢スポ2湘南ベルマーレユース
DF杉山 耕二スポ3三菱養和SCユース
DF◎3大桃 海斗スポ4新潟・帝京長岡
DF17工藤 泰平スポ3神奈川・日大藤沢
MF牧野 潤スポ4JFAアカデミー福島
MF鍬先 祐弥スポ3東福岡
→58分杉田 将宏スポ2名古屋グランパスU18
MF10金田 拓海社4ヴィッセル神戸U18
MF12大里 優斗スポ4鹿島アントラーズユース
→80分25倉持 快スポ2神奈川・桐光学園
MF栗島 健太社4千葉・流通経大柏
FW30今井 悠太郎文構4東京・高輪
→58分加藤 拓己スポ2山梨学院
FW14藤沢 和也社3東京・早実
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位大学名勝点試合数得点失点得失差
明大36131231+25
桐蔭横浜大25132112+9
立正大24132614+12
順大22131513+2
筑波大21132115+6
駒大20131523-8
法大19131912+7
中大17131317-4
専大16132334-11
10早大11131223 ―11
11東洋大131020-12
12流通経大13101227-15
※第13節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――チームとしてこの一週間、どう取り組んできましたか

0-5という結果を受けて自分たちの課題がどこにあるか、キャプテンがゲームの中で存在感を発揮し切れなかったという課題を含めて、そこにチーム全員で向き合ってきました。大桃自身も自分の弱さだったり課題に向き合いつつ、それをチームと共有して、チームとしてのリーダーシップをどう作り出すか向き合っていましたし、こういううまくいかない時にベースのところを見直そうと挨拶の徹底を促したりそういったところをGKの山田を中心にアクションがありました。うまくいかないときは人のせいにしたり自分じゃないところに持っていきがちだと思うんですけど、それを自分にベクトルを向けて学生たちもですけど、我々スタッフも意識してやるようにした一週間になりました。今季初の無失点試合で勝ち点1を上積みできて、東洋大という相手に対して勝ち点3を与えなかったのは非常に成長を感じる試合でした。

――前節とメンバーの入れ替わりがありました

今井に関しては金沢遠征の時に面談をして、お前みたいなのが試合に出ることは俺が監督をやっている以上は絶対にないって言うぐらいいい加減だったり、足りないところがあったりしましたが、でも本当にその翌日から激変して。まだまだ足りないところもありますけど、サッカーへの向き合い方だったりそういったところを4年生のこのタイミングで変化してきて、それを周りも評価していたので彼はきょうスタメンという立ち位置でした。今年の4年生はなかなかチームを引っ張れていない中で、その中でもがき苦しみながらも学びを見つけて行動をした人が成果を見つけられるというか、成長したり変化できると思います。まだまだチームとしての可能性は感じています。

――守備はかなり安定していました

工藤、大桃がしっかりチームとしてのリーダーシップのところに非常に力を発揮していましたし、それに対して皆が反応してつながるというところを意識してやることができたのでプレーヤーそれぞれに長所短所ありますが、お互いの長所を引き出す、そういうグループであるというチームに見えました。和也が退場したときもそれをカバーして試合を諦めなかったし、それぞれの良さが出ていて良いゲームでした。

――レッドカードが出た場面では指示をあまりされていませんでしたが

ピッチの中で話をして、ある程度自分たちで修正をしようとしていたので、そこを尊重してあげたいというか、尊重してあげることがあの状況でチームがポジティブに動きをつけれると思ったので、そこに関しては見ているだけでした。皆が10人という人数でかたちを作ろうとしていたので、すごく成長を感じられる場面でした。

――交代策はいかがでしたか

自然と4枚4枚にしたことで牧野が左にきて大里とノッキングというか、良さが出にくくなってしまっていたので攻撃の糸口として杉田、倉持、加藤を入れました。11人だったら本当は前線の3枚で彼らを入れたかったんですけど10人だったので。その可能性を信じて交代させました。

――激しい試合展開でした

何より関東大学リーグ戦の1部に残るために東洋大さんも必死ですし、我々も必死ですし、すべてのチームが簡単なリーグだとは思っていないと思います。この間の法政さんが甲府に負けてしまいましが、やっぱり大学サッカーのレベルは高いと思いますし、それだけ価値があるものだと認識しているので、厳しい状況ではありますけど、それも学生のときは学びだったり成長できる大きな機会だと思っています。

――来週も激しい試合が予想されます

去年とは一味も二味も違っていますけど、あと9試合が毎週毎週ドキドキですね(笑)。特に先週から今週に向けての流れは良かったですし、僕自身もやりすぎちゃってたかなとか、やっていく中で自分の中で疎かにしていたものに学生たちに気付かされたりすることもあったので、大学生というか、大学サッカーの良さっていうのは学生とスタッフが常に同じ立場でチームを運営していくというところですね。それによって彼ら自身が成長していく環境になると思うので、そこは我々スタッフも意識して環境作りを進めていきたいです。

MF栗島健太(スポ4=千葉・流通経大柏)

――前節の大敗を受けて、どのような準備を重ねてきましたか

筑波戦では雰囲気面で流れを変えることができずにどんどんダメな方へいってしまったというのがあったので、練習から雰囲気面は大事にしてやってきました。

――立ち上がりの苦しい展開で崩れなかったのは、1週間の準備の成果とも言えますね

そうですね、筑波戦の敗因はそこ(雰囲気面)にあったので。工藤のような雰囲気をつくれるメンバーが入ってきて、1人少なくなった状態でもチームとして崩れなかったので、それは筑波戦とは異なる、きょうの良い部分だったと思います。

――後半は主導権を握る時間が続いて栗島選手も攻撃の中心にいましたが、何か意識していたことは

特別意識していた部分はないんですけれど、セカンドボールの回収や攻守の切り替えなど、当たり前のことをやろうとは思っていました。

――1人退場したあとは試合がオープンな展開になり、球際の激しさが増したと思いますが、あの時間帯はいかがでしたか

キツかったですけれど、後半になるとああいう展開になることは多いし、1人少なくなった分みんなに「やらなきゃいけない」という意識が生まれたからこそ、無失点で終われたと思います。

――一方で今節も無得点、原因はどこにあるのでしょう

自分でも分からないですけれど、やっぱり2つの決定機を決め切れなかったのは自分の弱さだし、あれを決めていれば勝ち点3を取れたはずだし、それを勝ち点1にしてしまったのは自分にも責任があります。そこは次の試合で改善していけたらと思います。

――次戦へ向けて

駒澤大はロングボールを多用してくるので、まずはしっかりはね返すことと、セカンドボールの回収の速さで上回らないと押し込まれるので、まずはそこを意識していきます。あとは決定機を決め切らないと勝てないので、そこはしっかり自分と向き合ってやっていきたいです。

FW今井悠太郎(文構4=東京・高輪)

――前節ベンチ入りを果たし、今節ではスタメンでの起用となりました

僕の出身高校は無名校(高輪高校)なので、そういう高校から関東一部リーグのスタメンで出るということが周りの今Bチームでやっている選手にいい影響を及ぼすのではないかと考えていて、そこで絶対に結果を残したいと考えていました。

――外池監督からどのような声をかけられてきょう試合に臨まれたのですか

金沢遠征の際に選手一人一人と面談をする時間があったのですが、その時にお叱りを受けて、昨日スタメンで出るということが決まった際に「面談の時にはお前が変わらないと試合では使わない、と言ったがある程度変化が見られたから今回メンバーに入れてスタメンで使うことにした」と声をかけられて、また「ここで満足せず明日の試合はみんなが一番お前(今井選手)に期待していると思うから結果を残して活躍してほしい」ということも言われました。

――きょうは前から積極的にプレスをかける場面も多かったように思います

相手がボランチが落ちて三枚で組み立ててくる場面があったので僕と栗島(栗島健太、社学4=千葉・流経大柏)と藤沢(藤沢和也、商4=東京・早実)の三枚でハメに行こうという意図はありました。

――今井選手ご自身にも惜しい場面、ゴールを脅かす場面がありました

金田(金田拓海、社学4=ヴィッセル神戸U18)からいいボールが来て、ああいった場面で決められる選手にならなければならないのですが、あの場面で決めてデビュー戦で自分が勝利に導きたかったです。

――前節大敗を喫しましたが、チームとしてはこの一週間どのように過ごしてきたのですか

火曜日のオフ明けのミーティングでキャプテン(大桃海斗、スポ4=新潟・帝京長岡)が「この前の試合で自分が不甲斐ないプレーをして、次ああいうプレーをしたら、彼はプロ志望なのですが引退するというくらいの覚悟を示してやっていたので、その桃(大桃海斗)についていこうという意味で、特に四年生は桃を支えようという気持ちで一週間準備をしてきました

――チームとしては苦しい状況ですが、少しずつ改善されている点もあるかと思います

徐々に雰囲気みたいなものは出てきているのですが、きょう栗(栗島健太)が外してしまった場面のように、練習中でも一対一を外してしまうようなプレーもあるので、そういう部分を改善していければ結果はついてくるかなと思います

――次節に向けての意気込みをお願いします

和也(藤沢和也)が一発退場で出られないということで、次も自分にチャンスはあると思うので、結果を残してチームに貢献したいと思います