再び屈辱を味わうことになるのか。J1昇格候補が、正念場を迎えている。

 一昨季、J1でまさかの最下位に沈み、J2降格の憂き目にあった大宮アルディージャ。昨季はJ1昇格の圧倒的な有力候補と目されながら、J2で5位に終わり、J1参入プレーオフでも敗れて、1年でのJ1復帰はならなかった。

 それでも戦力的に見れば、大宮がJ2屈指であることは間違いない。今季開幕前もまた、大宮を(昨季と違い、圧倒的ではないまでも)昇格候補に推す声は多かった。

 実際、序盤戦こそ苦しんだものの、第9節を終えて3位へ浮上すると、以降は5位以上をキープ。第28節終了時には再び自動昇格圏内となる2位に浮上し、同じく昇格候補である首位の柏レイソルとともに、そのまま逃げ切り態勢を固めるかに思われた。

 ところが、第29節、第30節で今季初の連敗を喫すると、続く第31節、第32節は引き分け。4試合連続で勝利から見放され、順位のうえでも、プレーオフ進出圏内ギリギリとなる6位まで後退してしまっていたのである。

 こうして迎えた、J2第33節の東京ヴェルディ戦。頭上に暗雲立ち込めるなか、小雨程度のにわか雨でこの場をしのげるのか。あるいは、甚大な被害をもたらすゲリラ豪雨に見舞われてしまうのか。今季の結末を占う意味において、大宮にとっては非常に重要な持つ試合だった。

 はたして、結果は2-0の快勝。大宮の高木琢也監督が「いい内容とは言いづらいが」としながらも、「残り試合(が少ないこと)や、今の状況を考えれば、選手はよく戦った」と称える勝利を収めた。



東京ヴェルディを下し、5試合ぶりに勝利を飾った大宮アルディージャ

 5試合ぶりの勝ち点3は、実に大宮らしい、したたかで堅実な戦いぶりからもたらされたものだった。

「立ち上がり15分くらいは、アグレッシブに前線から(ボールを奪いに)行って、そこで点を取れたら一番いい」

 ゲームキャプテンを務めたMF三門雄大が、そう語っていたように、ボールポゼッションを高めて攻撃を組み立てたいヴェルディに対し、大宮は序盤、高い位置からのプレスを仕掛けた。

 だが、「(前線から)行ってみたら、パンパンと(パスを)叩かれて」(三門)、いきなりDFラインの裏を取られるピンチを立て続けに迎えた。

 すると、大宮は5-4-1の守備ブロックをしっかりと形成したうえで、そこからボールに対してアプローチしていく、慎重策へと切り替えた。三門が語る。

「ヴェルディの最近の数試合を見て、怖いのは(ボールに)食いつくこと。(自分たちがボールに食いついてしまい)スペースを空けると、そこにスピードのある選手が入ってくる。なので、ボランチが(中央を)空けなければ、そんなに怖くないと思っていた」

 と同時に、三門曰く、「(ヴェルディの)センターバックが自陣に入ってくるくらいまで相手を引き込んじゃったほうが、カウンターを発動しやすい」。大宮は戦術変更が功を奏し、ボールを奪うと、次々に効果的なカウンターを繰り出した。

 たしかに、指揮官が「最近の試合で勝ち切れないことが、ああいうシーンにつながっている」と指摘したように、せっかくのカウンターの場面で、攻撃を完結できないシーンが何度か見られたのは気になった。カウンターから作ったチャンスの数のわりに、結局は2点止まり。3点目、4点目を取るチャンスは十分にあったはずだ。

 とはいえ、貴重な先制点にしてもCKから生まれたものではあったが、そのCKは、敵陣での相手スローインのボールをうまく囲い込んで奪ったところに端を発する、鋭いカウンターで得たものだ。

 つまりは、セットプレー=飛び道具で強奪したように見える得点も、大宮の狙いどおり、いい守備からいい攻撃へとつなげるなかで生まれた、理想的なゴールだったのである。

「そんなにピンチもなく、ゼロで抑えられた。こういうゲームを続けられれば、勝ち点3を取っていける。狙いどおりの試合だった」

 三門も胸を張り、そう話していたが、前節まで4試合続いていた悪い流れを、大宮はいい形で断ち切ったと言っていいだろう。

 大宮はこの勝利で、順位のうえでは6位から5位へとひとつ上げたに過ぎないが、勝ち点では57まで伸ばし、2位の横浜FCと並んだ。J1自動昇格となる2位は、まだまだ手の届くところにある。勝ち点66で、2位に勝ち点9差をつける首位の柏が、J1自動昇格の1枠をすでに確保しつつある現在、現実的なターゲットは2位狙いだろう。

 ただし、2位から5位までが勝ち点57で並ぶ大混戦は、さらに同55で6位の京都サンガ、同53で7位のファジアーノ岡山も続いている。大宮が自動昇格を狙える位置にいるのは確かだが、一歩間違えれば、プレーオフ進出さえも逃す危険と背中合わせの状況でもある。

 全42節という長丁場のJ2も、残すところ9節のみ。2年連続でJ1昇格を逃す事態だけは避けたい昇格候補にとって、ここから先はひとつの例外もなく、しびれる試合になるはずだ。

 先制ゴールを決めた、MFイッペイ・シノヅカが語る。

「(残り試合が少なく)もう負けられない。これが、いい流れを作る第一歩。ここから勝っていけるようにしたい」

 J1昇格の有力候補が、ひとまず危機的状況を脱し、昇格争いに踏みとどまった。