ニューカッスル・ユナイテッドが今季初勝利を挙げた。

 8月25日に行なわれた、トッテナム・ホットスパーとのプレミアリーグ第3節。アウェーゲームに乗り込んだニューカッスルは、強豪相手に5-4-1の守備的なシステムを採用した。



トッテナム戦の武藤嘉紀は約8分間プレーした

 試合序盤から8割近くのボールポゼッションを握られる苦しい展開になったが、ニューカッスルは自陣深くに引いて守備ブロックを敷き、カウンターからの「ワンチャンス」に狙いを定めた。すると、相手守備の一瞬の隙きを突いて前半27分、ブラジル人FWジョエリントンが先制点を奪取。その後もトッテナムの猛攻をなんとかしのぎ、1-0で貴重な勝ち点3を掴んだ。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、ニューカッスルのサイドでは、ひざから崩れ落ちて勝利を噛みしめる選手の姿も……。開幕2連敗を喫し、スティーブ・ブルース監督とクラブ首脳陣には早くも厳しい批判が集まっていたが、重苦しいムードを吹き飛ばす大きな勝利となった。

 そして、ベンチスタートのFW武藤嘉紀は、後半43分から途中出場を果たした。

 実はその20分前にもジョエリントンが足を負傷し、武藤がユニフォーム姿になって準備を整えた場面があった。ところが、治療を終えたジョエリントンはピッチに復帰。試合に出られるか、出られないかという微妙な状況が続き、武藤は「モゾモゾしていました」という。

 こうして迎えた後半43分、疲れの色が濃くなったジョエリントンに代わって、ようやく出番の声がかかった。投入時、武藤はブルース監督に背後から抱きかかえられ、「忍者スタイルを見せてこい!」とハッパをかけられたという。

 武藤が入ったのは5-4-1の1トップ。相手DFのパス回しを追いかけながら、前線に残ってカウンターのチャンスを狙った。

「『少し前に残っていろ』と言われて。相手のDFが跳ね返したあとのセカンドボールを狙っていた。あそこで俺も一緒に下がっちゃうと、全員で下がってしまう。前線がゼロになってしまうので。前線でボールを収める場面が出てくることも想定できたから」と、武藤は監督からの指示を明かした。

 惜しい場面もあった。最前線に残っていた武藤のもとにロングボールが入った後半44分。武藤は身体を上手に入れて、コロンビア代表DFのダビンソン・サンチェスの背後に抜けようとしたが、後ろからユニフォームを引っ張られて転倒した。

 ところが、主審はノーファウルの判定。突破できていたらビッグチャンスとなっていただけに、武藤も両手を広げてファウルをアピールしたが、判定は覆らなかった。

 試合は、このまま1-0でタイムアップ。6分間のアディショナルタイムと合わせて約8分間プレーした武藤は、勝利の大きさを噛み締めながら話した。

「この勝利はでかい。本当にひとりひとりが最後まで粘り強かったし、すばらしかったと思います。トッテナムもイライラしていたと思いますし、完全に自分たちの戦術に相手をハメたんじゃないかなと。(記者:チームのムードも変わった?)もう全然、違います」

 そして、緊迫した試合展開で投入された武藤も、連敗ストップの勝利に安堵感をにじませた。

「ビクビクしましたもん。やっぱり途中から入ってきた選手として、スコアをマイナスのほうに動かされたら、いくらかその人のせいにされる可能性もあるから。そういった面で(ホッとした)。

 今日はジョエリントンが点を決めていたし、試合中にケガ人も出ていたから、『出ないかな』と思っていた。できるというところをアピールしたいと思っていた。試合に入って、相手に点が入ったりしたら最悪だったから、そのまま勝ってよかった。あそこで自分のプレーが悪かったら、もう本当にチャンスがない。あの時間で出て、最低限のことはしたと思います。

 サンチェスと競り合った場面? 監督は、ああいうガツガツいくプレーが大好きなので。結局、ファウルにもならなかったが、相手をレッドカードにしたり、引っ張られてもそのまま行けるようにしないといけない。完全に引っ張られて前に出るのが無理だったから止まったけど、ああいうところも跳ねのけられるようにならないと」

 ニューカッスルの次戦は、8月28日に行なわれるレスター・シティとのリーグカップ2回戦。開幕3試合でベンチスタートを命じられている武藤だが、このカップ戦で先発のチャンスがまわってくる可能性は高い。

 武藤も「自分個人としては、今シーズンを左右する試合になると思います。先発? そうだったらいいですけど。ジョエリントンも疲れていると思いますし、そこで勝利に貢献できたらベストかなと。点を決めることが絶対に重要」と、気持ちを引き締めていた。