21日、大会最終日を迎えたIFSCクライミング世界選手権2019八王子(エスフォルタアリーナ八王子)はコンバインド男子決勝が行われ、抜群の安定感をみせた楢崎智亜が2位以下を大差で突き放して優勝。ボルダリング単種目に続く今大会2冠を達成し、オリンピックの男子日本代表に内定した。

 大会前の会見で「オリンピック代表権ではなく、世界一を狙いに行く」と公言していた楢崎智亜が有言実行をしてみせた。

 第1種目のスピードから、楢崎は圧巻のパフォーマンスを披露する。明智との兄弟対決を制して迎えたミカエル・マエム(フランス)との一戦は、互いにミスなく進んで白熱したレース展開に。勝ったのは最後に一手先を行った楢崎で、マエムの6.313秒に対し6.159秒を計測して自身の持つ日本記録を更新した。1位を決めるビッグファイナルではスリップによりリシャット・カイブリン(カザフスタン)に敗れたが、フライングの影響でこの種目6位スタートとなった前回大会の雪辱を果たし上々の2位発進となった。

スピードで自身の日本記録を塗り替え6.159秒をマークした楢崎智亜。5秒台も見えてきた。

 続くボルダリングでも、その勢いは止まらない。ゾーン後の足場が悪く、それまでの選手が未完登だった第1課題は最初のトライから下半身がブレず一撃。難しいゴール取りの第2課題は2トライで落とし、第3課題を前に他7名が0完登だったためこの種目の1位が確定する。最後も完登で仕上げた楢崎は2ポイントで総合首位に立った。

 さらにアレクサンダー・メゴス(ドイツ)が指を痛めて途中棄権したため、最終種目リードは最下位の7位でも14ポイントとなる楢崎は、リードで6位以下にならなければ日本人1位でオリンピック代表に内定する圧倒的有利な状況となった。

ボルダリング第2課題を完登しガッツポーズする楢崎智亜。

 そのリードは一番手で完登したヤコブ・シューベルト(オーストリア)以外、終盤にたどりつけない状況が続き、日本の原田海は30、藤井快は29+、楢崎明智は21で終わる。最終競技者の楢崎智亜は原田と同じ高度30でフォールしたが、到達時間で上回りこの種目を2位でフィニッシュした。

 この結果、スピード2位、ボルダリング1位、リード2位と各種目で高いパフォーマンスを維持した楢崎智亜が初のコンバインド種目世界王者に輝き、オリンピック代表内定という、今シーズン掲げていた最大の目標を達成した。2位には前回大会王者のシューベルト、3位にはスピードの1位に加えリードでも奮闘したカイブリンが入った。

日本人2位には自己新をマークしたスピードとリードで3位を獲得した原田海が入った。

 そして楢崎に次ぐ日本人2位には総合4位の原田が入り、オリンピック代表に選出されるための資格を獲得。楢崎明智は5位、藤井は6位に終わった。

 これで初の日本開催となったIFSCクライミング世界選手権が終了。最終日には君が代が鳴り響き、野口啓代と楢崎智亜、2人のオリンピック日本代表が誕生した大会の幕は閉じた。

<決勝リザルト>

1位:楢崎 智亜
 4ポイント(S 2位/B 1位/L 2位)
2位:ヤコブ・シューベルト(AUT)
 35ポイント(S 7位/B 5位/L 1位)
3位:リシャット・カイブリン(KAZ)
 40ポイント(S 1位/B 8位/L 5位)
4位:原田 海
 54ポイント(S 3位/B 6位/L 3位)
5位:楢崎 明智
 60ポイント(S 5位/B 2位/L 6位)
6位:藤井 快
 72ポイント(S 6位/B 3位/L 4位)
7位:ミカエル・マエム(FRA)
 112ポイント(S 4位/B 4位/L 7位)
8位:アレクサンダー・メゴス(GER)
 448ポイント(S 8位/B 7位/L 8位)

※上段左から順位、氏名、所属国
※下段左から各種目順位の値を掛け合わせた総合ポイント、各種目順位(S=スピード、B=ボルダリング、L=リード)

CREDITS

取材・文

編集部 /

写真

窪田亮