文=バスケット・カウント編集部 写真=B.LEAGUE細部まで徹底し尽くしたジェッツのバスケットNBLでは中堅クラブに過ぎなかった千葉ジェッツは、Bリーグの時代の訪れとともに大きく羽ばたいた。大野篤史ヘッドコーチの下、外国籍のビッグマンまで…

文=バスケット・カウント編集部 写真=B.LEAGUE

細部まで徹底し尽くしたジェッツのバスケット

NBLでは中堅クラブに過ぎなかった千葉ジェッツは、Bリーグの時代の訪れとともに大きく羽ばたいた。大野篤史ヘッドコーチの下、外国籍のビッグマンまで走る高速トランジションを軸としたスタイルを採用。その中心に据えられた富樫勇樹は『Bリーグの顔』ともいうべき活躍を見せ、脇を固める選手たちもそれぞれレベルアップを怠ることなく新時代に相応しいバスケットを展開してきた。

もっとも、天皇杯3連覇と結果を出す一方で、Bリーグではチャンピオンシップを勝ちきれず。昨シーズンはファイナルに進むも、アルバルク東京に60-85と完敗を喫している。それでもバスケットボールのスタイルを変えることなく、むしろ細部まで徹底し尽くすことで完成度を高めてきた。リベンジの機会とともに、初優勝を決めるチャンスが訪れた。

PG 2 富樫勇樹

167cmと低い身長を補って余りあるスピードとシュート力で相手ディフェンスを切り裂き、得点を量産するスコアリングガード。『分かっていても止められない』と他チームが恐れる千葉のトランジションオフェンスの中心として強気のプレーを連発するが、それと同時に勝負どころでのミスが少ない安定感も持ち味。周囲から絶大な信頼を寄せられる千葉のシンボル。

PG 11 西村文男

スペースが空けば自らシュートを狙う積極性がありながら、味方にパスを散らしてゲームコントロールもできる、安定感が光るポイントガード。富樫とは違った色を出して、チームにアクセントを加える西村だが、富樫と同時起用するツーガードは、富樫の負担を軽減させつつオフェンスの厚みをもたらすオプションとなっている。

PG 15 藤永佳昭

序列的には富樫、西村に次ぐ3番手のポイントガードであり、プレータイムはそこまで多くない。それでも、出場機会が与えられれば、タイトなディフェンスを軸にしっかりと役割をこなす。ディフェンスでスタンディングオベーションを巻き起こす稀有な存在。

SG 27 石井講祐

千葉が誇る『3&D』(3ポイントシュートとディフェンスを得意とするプレーヤー)。今シーズンは45.2%と3ポイントシュート成功率でリーグトップに輝いた。それ以上に光るのが運動量とバスケットIQを兼ね備えたハードワークの部分。鋭い読みからスティールやパスカットを連発。石井のこうしたディフェンス力が千葉の安定感をより盤石なものとする。

SG 5 田口成浩

キャッチ&シュートを得意とし、キャリア8シーズンでの3ポイントシュート成功率が40%を超えるシューター。加入当初は石井のバックアップに回っていたが、シーズン終盤に調子を上げてその地位を脅かしつつある。チャンピオンシップでは田口が『ラッキーボーイ』の役割を果たしており、職人気質の選手が多い千葉を「おいさー!」の声とともに活気づけている。

SF 10 アキ・チェンバース

当たり負けしないフィジカルと軽快なフットワークを兼ね備えたハードワーカー。スイッチしてもミスマッチが生まれにくい特徴を生かし、千葉の堅守を支えている。エースキラーとしての働きも見逃せない。キャッチ&シュートに加え、ランニングプレーにも定評があり、千葉の不動の先発へと成長した。

SG/SF 31 原修太

シーズンを通してプレータイムは安定しなかったが、セミファイナルの栃木戦では2試合で33分出場と、特にディフェンス面で信頼を獲得している。大学時代はキレで勝負するスコアラーだったが、千葉ではハードなトレーニングを続けて毎シーズンのように体つきが激変。押し負けないパワーを備えたハードワーカーへと成長する一方で、地元出身の末っ子キャラとして愛されている。

SF/PF 34 小野龍猛

ケガで長期離脱があってコンディションが戻らず、現在はベンチを温める時間が続いている。それでも、198cmの3番プレーヤーとしてミスマッチを生み出しやすい特長を最大限に生かした老獪なポストムーブは千葉の秘密兵器となる。ファイナルで調子を戻し、試合を決める3ポイントシュートを連発する可能性も決してないわけではない。

SF/PF 7 トレイ・ジョーンズ

シーズン序盤に左肩関節脱臼のケガを負ったことで出遅れ、あまりプレータイムはもらえていない。それでも非凡なシュート力があり、力強いユーロステップからのランニングプレーなど、高いオフェンス力を誇る。出場機会があれば3番タイプの外国籍選手として、違いを生み出せる存在となる。

PF 3 マイケル・パーカー

チームで作り上げた堅守速攻を完成させるフィニッシャーは、分かっていても抑えられない神出鬼没の合わせや速攻で得点を量産し、チームハイの平均15.8得点を記録。リーグ3位となる平均2.1スティールに加え、平均1.4ブロックとディフェンス面でも大きな存在感を示す。富樫をして、「乗っている時は1人で5人分の役割をする選手」と言わしめる万能プレーヤーぶり。

PF 8 大宮宏正

引退した伊藤俊亮の穴を埋める形で今シーズンからチームに加わった日本人ビッグマン。平均3.8分の出場とプレー面での貢献度は高いとは言えないが、それでも明るく愛されるキャラクターぶりを発揮し、ムードメーカーとして千葉を支えている。それでいてコートに送り出されればその場面で求められるタスクをきっちりこなす、縁の下の力持ち。

PF 21 ギャビン・エドワーズ

多くのチームで得点力とリバウンドに優れた外国人センターがエースを張っているが、速攻で先頭を切って走り、自らもボールプッシュができるのはエドワーズしかいない。ゴール下の密集地帯でも当たり負けしないフィジカルと柔らかいシュートタッチ、リムプロテクターとしての激しいプレーもインパクト大。加入2シーズンで千葉に欠かせない戦力となった。

PF/C 1 ジョシュ・ダンカン

足腰も上半身も強いファイターの印象が強いかもしれないが、実際は柔らかいポストプレーとミドルレンジの正確なシュートで得点を積み重ねる『柔』のプレーヤー。シーズン終盤に調子を上げており、栃木とのセミファイナルでは、2試合合計50分の出場で32得点を挙げる効率的なプレーで勝利に貢献。大野ヘッドコーチをして「一番安定感がある」と言わしめた。