文・写真=鈴木栄一GAME2での敗戦を徹底修正し掴んだファイナルへの切符アルバルク東京は、琉球ゴールデンキングスとのセミファイナルをGAME3までもつれる激闘の末に勝ち上がり、リーグ連覇まであと1勝とした。逆王手をかけられて迎えたGAME3…

文・写真=鈴木栄一

GAME2での敗戦を徹底修正し掴んだファイナルへの切符

アルバルク東京は、琉球ゴールデンキングスとのセミファイナルをGAME3までもつれる激闘の末に勝ち上がり、リーグ連覇まであと1勝とした。逆王手をかけられて迎えたGAME3、A東京は第2クォーターに21-6と大きく突き放すことで2桁のリードを保ち前半を終える。第3クォーターに入って琉球の反撃を浴びるも、そこから盛り返すとダメ押しの一撃となったのが終了間際、ショットクロックぎりぎりで沈めた田中大貴の3ポイントシュートだった。

72−60で制したGAME3を田中は「ここまで来たらどっちがファイナルに行きたいのか、気持ちと気持ちのぶつかり合いの試合でした。琉球さんもすごくタフなチームですが、それを自分たちが上回った。気持ちの入った良い試合だった」と総括する。

そして、競り負けたGAME2と、しっかりやり返したGAME3との違い、勝因を次のように振り返る。

「GAME2の最後、自分がターンオーバーしてしまったり、オフェンスリバウンドを取られてしまったりした。そういう詰めの甘さがあると、一気に流れを持っていかれる展開になる。本当に40分間気を抜いてはいけないと、GAME2の試合後からGAME3が始まるまでヘッドコーチには口酸っぱく言われました」

「今日の試合ではイージーなターンオーバーをしないと、より注意して試合に入ったことが違いました。あの激しいディフェンスの中でターンオーバー4つに抑えられたのは、第2戦目から学んだところでした」

コンディション面での不安が残る中入ったチャンピオンシップ

田中個人でいうと、左足ハムストリングの痛みが再発したことでレギュラーシーズン最後の4試合を欠場。チャンピオンシップではクォーターファイナルの新潟アルビレックスBB戦から出場しているが、いつもと違うベンチスタートが示すように万全ではない状況だ。

「レギュラーシーズン最後に状態を徐々に上げて良い形でチャンピオンシップに入りたかったですが、最後にちょっとケガをしてしまって、自分にとってはすごくマイナスだと思いました。そこでちょっと自信がなくなったというか、不安があった中でチャンピオンシップに入り、なかなか自分の想像している通りにいかない。ビッグマンにスイッチされた時など、最後まで抜ききれないのが今の自分の状態かなと思います」

このように田中は、シーズンで最も重要な場面において思うようにプレーできないことへのもどかしさを語る。ただ、その中でも「ディフェンスだけは崩さずに頑張ってきました」と語るように、A東京の根幹である堅守は支え続けている。また、卓越したボールハンドリングと視野の広さを生かし攻撃の起点としてスタッツに残らない活躍も大きく、彼がコートにいることでオフェンスはよりスムーズに展開されている。そして、試合を重ねるごとにコンディションも良くなっていると言う。

「新潟の1戦目に比べると今の方が状態は良いと思います。琉球さんと3試合やりましたけど、1試合目よりも2試合目、2試合目よりも3試合目の方が、身体の調子は良くなっていると感じます。残りあと一試合なので、今持ってる自分の力をすべてぶつけたい」

A東京のタフネスを見せて連覇へ

2年連続ファイナルの相手は千葉ジェッツとなった。千葉とは天皇杯、レギュラーシーズンの対戦で負け越している。さらにA東京はセミファイナルを連勝で終えた千葉と比較すると、1試合多くこなしている上に休養日も少ない。GAME3は7日のナイトゲームで、東京へと帰ったのは昨日。そして明日には横浜アリーナのコートで本番想定の練習を行い、ファイナルを迎える過密日程だ。

それだけに田中も「状況的にはウチの方が厳しい見方をされる方もいると思います」と語るが、一方でこの逆境を自分たちは乗り越えられると強調する。

「チャンピオンシップ前の記者会見で言ったように、自分たちが一番タフなチームだと証明できる良い機会。しっかりリカバリーして最後の一試合を戦いたいです」

A東京がどこよりもタフであることは、琉球との3試合で証明できた。それをファイナルの舞台で、あらためて披露すること。それができればリーグ連覇は現実のものとなる。