文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

伸び悩んだ3年目「何をしてたんだろうって感じ」

サンロッカーズ渋谷は27勝33敗でレギュラーシーズンを終えた。昨シーズンから勝ち星を1つ減らし、チャンピオンシップ進出は果たせなかった。

千葉ジェッツとの最終節に連敗してシーズンを終えたSR渋谷だったが、ケガ人続出で歯が立たない2試合の中で、ただ一人気を吐いたのが杉浦佑成だ。2試合で9本の3ポイントシュートを沈める輝きを見せたが、本人は「この2試合は本当に例外」と言う。

杉浦は特別指定選手として2年前にSR渋谷へ入団し、昨シーズンから本格的にプロの世界を経験している。今シーズンは60試合中41試合で先発を務めたが、プレータイムは伸びていても数字は残せず、本人としても不完全燃焼に終わった印象が強い。「アルバルクに大敗して気持ちが変わって、そこからはガツガツいけて良かったんですが、それまでは何をしてたんだろうって感じでした。何もできなかった印象です」

杉浦の言う試合は、4月3日に行われたアルバルク東京戦のこと。ケガ人続出でボールハンドラーが足りなくなったSR渋谷は49点差の大敗を喫した。その後は「ボールに絡むと楽しいし、ボールに絡もうとする姿勢がずっとありました。結果的に何もしない試合はなかったかなって」と、吹っ切れたことで積極性が出て、杉浦は自身の秘めたポテンシャルを発揮できるようになった。

だが、SR渋谷にとっては遅すぎる覚醒だった。伊佐勉ヘッドコーチは厳しい発破をかける。「僕の期待が高いのはありますけど、もうちょっと伸びてほしかった。開幕前にスタートでコンスタントに20分ぐらい出ないとSR渋谷は上に行けないと話していました。まだまだできる。もっと奮起してほしい」

伊佐ヘッドコーチ「嫌らしい選手になってほしい」

もちろん、チームの調子がなかなか上がらない中、若い杉浦が巻き込まれてしまった面もある。チームの不振の責任を彼に押し付けるわけではないが、今のSR渋谷のメンバーを見ても、大学のスタープレーヤーであり、恵まれた体格と身体能力を持つ杉浦には期待せざるを得ない。

最終戦を終え、「選手たちにもう一段階レベルアップさせてあげたかった」とシーズンを振り返った伊佐ヘッドコーチは、杉浦への期待をこのように語る。「まずアウトサイドシュートを打てるようになりましたし、成長したと思います。ただ、僕は彼をシューターとは思っていません。もっと中にアタックしながら、たまにアウトサイドを打つ『嫌らしい選手』になってほしい」

杉浦は3ポイントシュート成功率37.2%という数字を残し、スポットシューターとしては結果を残した。だが、「作られた中でしか打てなかった」と言うように、今後はドライブを織り交ぜて打つ技術、そして指揮官が求める『ずる賢さ』も必要になってくる。それができれば、「ピック&ロールをしたときの判断や、アタックできたときの判断がまだダメ」と自ら語る課題も解消でき、必然的にクリエイト能力も磨かれるはずだ。

エンジンがかかったのが遅すぎたが、この経験を無駄にしてはならない。「リングにアタックすることも増えたし、シュートが当たったら積極的に打とうという気持ちで試合に臨むこともできました。この感覚を今回学べたというか、つかめたので、新シーズンは序盤からこういうメンタルで臨みたいです」と、杉浦は来シーズンの成功を誓う。

SR渋谷は生え抜きの満原優樹と伊藤駿の退団が決まり、変革期を迎えている。杉浦の去就もまだ明らかになっていないが、残留となった場合はベンドラメ礼生とともにチームを引っ張る若き日本人選手として、そして次世代のリーダーとしてより大きな期待がかかる。