文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

2年連続残留プレーオフ出場からの飛躍

4月28日、チャンピオンシップのクォーターファイナルで千葉ジェッツに敗れ、富山グラウジーズの2018-19シーズンが終わった。

初戦は後半に崩れたが、第2戦では最後まで粘り強く戦い抜いた。試合後、宇都直輝は「悔しい、それが一番」と、率直な胸の内を語る。「ワイルドカードでギリギリ入ったり、いろいろありましたけど、やっぱり人間、欲が出るというか、どんどん上に行きたい気持ちが強くなって、千葉さんが強いのは分かっていましたけど、2連敗してすごく悔しいです」

富山はワイルドカード下位でチャンピオンシップに進出した。それはシーホース三河が川崎ブレイブサンダースに連敗したという、巡り合わせがあったからだ。

「僕らが最後に連勝したとしても、三河さんが1勝でもしていれば行けなかったので。個人的には自力で2位とか、アルバルク(東京)さんのように、ワイルドカード上位で行くのがベストだと思う。余裕を持ってじゃないですけど、自分たちでつかみたいというのは正直ありました」

このように宇都は他力本願での出場を悔しがった。それでも、2年連続で残留プレーオフに回ったチームがチャンピオンシップ進出を果たしたことは大きな成長であり、宇都も「チャンピオンシップに行けたことは成功だった」と、一定の満足度を示した。

「去年、一昨年と残留プレーオフに行ってすごいつらい思いをしました。それと比較するのもおかしいですが、充実したシーズンを送れたと。自分自身も学べて成長できた年だったと思うし、いろいろな面で良かった。勝率が伸びて、チャンピオンシップに出れたこと、それが一番良かった」

「バスケットボールは5人でやるスポーツ」

昨シーズンまでの富山は、宇都が平均34.5分間出場し、負けられない試合では40分フル出場もあり、宇都への依存度が高かった。だが、レオ・ライオンズとジョシュア・スミスという個で打開できる外国籍選手が加わったことで、宇都への負担は軽減された。

しかし、強すぎる個性の融合は容易ではなく、宇都も「今シーズンは自分自身がブレたこともあった」と語った。「ジョシュがいて、レオがいて、なかなか自分を落とし込むのが難しかったです。得意だったピック&ロールも戦術にないなかで、どうやってやっていくかは大変だった」

実際、シーズン中に話を聞いた時には「絶賛、壁にぶち当たり中」と、苦悩を明かしていた。

それでも「学べて成長できた年だった」というように、シーズンが進むにつれて相互理解が進み、結果的に悲願であったチャンピオンシップ進出を果たすまでにケミストリーは向上。「3ポイントを打たなくても、カッティングで得点したり、他にもいろいろ方法を見つけた」という宇都も、平均10.3得点4.8アシストと、チームの中での自分の出し方を見つけた。

千葉との第2戦では、ライオンズが32得点を挙げるも、5選手が2桁得点を挙げた千葉のチーム力に屈する形となった。宇都はあらためてバスケットボールがチームスポーツであることを痛感したという。「バスケットボールは5人でやるスポーツなので、『個』ではどうしても勝てない。千葉さんのようにチームがしっかりしていないと。そういったところがすごく分かった最後の試合でした」

宇都がチームの歯車になったことで富山はステップアップを果たした。ケミストリーの構築が遅れたにもかかわらず、チャンピオンシップ進出を実現しただけに、「ブレずに強い芯を持って、来シーズンは臨みたい」という宇都が、チームをもうワンステップ向上させれば、今シーズン以上の景色が見れるはずだ。