文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

重要な場面を託されても「気持ちの準備はいつもしている」

千葉ジェッツは富山グラウジーズとのチャンピオンシップ、クォーターファイナルに連勝し、順当にセミファイナルへ駒を進めた。チャンピオンシップ初出場の富山も粘りを見せたが、要所で3ポイントシュートを沈めて勢いを断った田口成浩の働きが、連勝の一つのポイントとなった。

第1戦で4本の3ポイントシュートを含む14得点、第2戦では3本の3ポイントシュートを含む12得点と、田口はチャンピオンシップに入って調子を上げている。

「一発勝負ではないですけど、『一つ落としたらやられる』っていう気持ちと、レギュラーシーズン60試合で積み重ねてきたものをぶつけるだけです。気負うことなく、どの対戦相手でもチャレンジャーという気持ちなので、思い切りやった結果が良い方向に出ました」と、田口はこの2試合のパフォーマンスを振り返っている。

第2戦では、ショットクロックがわずかな状況でもフェイクでマークマンを跳ばし、ブザーと同時に3ポイントシュートを決めるシーンもあった。気負わない田口には、周りの状況を把握する冷静さがあった。「フェイクして、時間も見ながら打てました。それくらいの余裕があったのは、パスが来る前の準備があったからこそ。常に、来い来いって気持ちでやっています」

このように調子の良かった田口は、第3クォーターをスタートで起用された。普段と違う起用法ではあったが「石井(講祐)さんもファウルがこんでいたのでサプライズな感じではなかった。気持ちの準備はいつもしているのでスッと入れた」と、普段通りのメンタルで臨めたという。

セミファイナルで重要な「スタッツに表れないところ」

こうした短期決戦では、ラッキーボーイの存在が試合の展開を左右することが多い。「大野(篤史)さんからは、プレーオフは調子の良い人間を使うと伝えられています」と、田口が言うように、その時々に調子の良い選手を使うことも大切な戦術の一つと言える。

そして、田口はその期待にプレーで応えた。「弱気になることなく、強気で常にリングに向かったり、アグレッシブにやるのが自分です。『今、俺か?』という感じではなく、『さあ来たぞ』と、王様の気分のようにやることが平常心に繋がります」と、独特の言い回しで気持ちを保つ秘訣を表現した。

こうしたメンタルの強さは、チャンピオンシップでは特に大きな武器となる。セミファイナルの栃木ブレックス戦でも、「気持ちのぶつかり合いになると思うし、我慢し続けたほうが勝つと思う」と田口は予想する。

過去最高勝率でレギュラーシーズンを終えた千葉だが、栃木との戦績は3勝3敗と、両チームの力は拮抗している。そのため一つひとつのプレーが試合展開を左右し、「スタッツに表れないところを強調して見てもらいたい」と田口は言う。

「やり口はお互い把握しています。コートに出ている5人がスタッツに表れない小さなところをいかにやれるか。それと、ベンチ一丸となってみんなで戦う姿勢ですね。ルーズボールだったり、ボックスアウトだったり、スタッツに表れないところを見てもらえれば、見てる方々も楽しんでもらえるんじゃないかと」

両チームに共通するのがセカンドユニットの充実ぶり。そのため、いかにベンチメンバーがチームに勢いを与えらるかも見所の一つだ。『王様の気分』でコートに立つ、田口のパフォーマンスに注目したい。