チームを救った2本の3ポイントシュート

3月27日、サンロッカーズ渋谷は76-87で千葉ジェッツに敗れた。4点ビハインドで迎えた残り1分10秒から、2本連続でターンオーバーを犯したことが直接的な敗因となったが、点数以上に互いの力は拮抗していた。

第3クォーター序盤に逆転に成功したSR渋谷だが、強度を高めた千葉のディフェンスに苦しんでリードを守り切れず、残り3分23秒にマイケル・パーカーの得点で5点差とされたところでタイムアウトを要求した。試合の流れは千葉に傾いた上に2ポゼッション差とされ、何とか保ってきた均衡が崩れそうな場面だったが、ここで違いを見せたのが清水太志郎だった。コートに入るなりシュートチャンスを迎えると、迷うことなく3ポイントシュートをリリースし、これを成功させた。

その後、千葉に対して終始3ポイントシュートをあえて打たせる作戦を取っていたSR渋谷は、富樫勇樹に連続3ポイントシュートを許した。シュートが入らない間は良いが、シュートタッチが合った場合、一気に離されるリスクがあった。だが、ここでも清水はデザインされたプレーから、決められたポジション取りでの3ポイントシュートを沈めて、千葉の勢いをシャットアウトしてみせた。

清水は「あそこで交代が来るとは」と、自分自身でも起用法に驚いたという。というのも直近5試合で出場がなく、山内盛久がケガで出場できない事情があったにせよ、この拮抗した場面でコートに送り出されるとは思っていなかった。

それでも、ベテラン特有のメンタルの安定感がチームを救う2発を呼び込んだ。「ベテランなのでメンタルに左右されることなく、しっかり保とうと心がけています。練習ではたくさん打ち込むというより、どのタイミングできても同じシュートを打とうと心がけていて、キャッチした瞬間を一番気にしているので、それが良かった」

清水は6分間の出場ながら6得点を挙げ、ロールプレーヤーとして完璧な仕事を遂行した。

葛藤するも「我慢ができるようになったなって」

清水はキャリア14年の37歳、もちろんチーム最年長プレーヤーだ。昨シーズン入団した杉浦佑成や、特別指定選手の盛實海翔とは一回り以上も歳は離れている。彼らのようにフレッシュな若手を重用していることもあり、今シーズンの清水のプレータイムはキャリア最低の平均5.7分に留まっている。若手の台頭に加え、加齢や昨年1月に負った左アキレス腱断裂の影響も少なからずあるだろう。

プロ選手である以上、試合に出て活躍することが仕事だ。プレータイムが少ない、すなわち数字の面でチームに貢献できていない状況に「葛藤は多い」と清水は言う。それでも、腐ることなく選手としての誇りを持ち続けている。

「チームが僕に合わせることはないので、ヘッドコーチの下で自分の色を出すのが大事。ストレスをチームに向けるのは簡単で、そっちに走ると自分の負けだなって。我慢ができるようになったとベテランになって思いますね」

久しぶりに巡ってきた出番。しかも相手に流れが傾いていた場面で結果を出せたこともあり、清水は安堵の表情を浮かべた。「コーチの考えを理解しながらどう頑張るか、納得しつつどうやっていくか試行錯誤してる中で、この少ないチャンスに決められて良かったです」

「チーム力を突き詰めて」上位チーム撃破を

接戦に持ち込んだSR渋谷だったが、結果的に千葉越えを果たすことはできなかった。チームは現在23勝27敗、チャンピオンシップ進出の可能性はまだ残されている。だが、清水が「上位に一回も勝てていない」と指摘するように、激戦の東地区に所属する以上はリーグトップ3の牙城を崩さないことには、可能性は出てこない。

もうシーズンも終盤だが、清水は客観的にチームを分析したうえで、あらためて『個』ではなく『集』で戦う必要があると説いた。「フェイストゥフェイスで1on1できるのは(ベンドラメ)礼生くらいで、ウチは個々の能力は高くないチームだと思っています。でも、それぞれの得意な場面をチームとして作れば戦うことができます。自分たちのバスケットが何かをもう一度確認して、渋谷の3ポイントを抑えようとか渋谷のトランジションを抑えようとか、個人的な名前が出ない、そういったチーム力を突き詰めていけば良いゲームができると思う」

残り10試合、SR渋谷のチャンピオンシップ進出の可否は、チームがどこまでまとまるかにかかっている。それはすなわち、清水のようなロールプレーヤーたちのパフォーマンスが重要になってくる。