『FIVB(国際バレーボール連盟)ビーチバレーボール・ワールドツアー2018 3-Star(※) 東京大会』が、お台場青海特設会場(7月25日〜29日/東京都江東区)で行なわれた。
※Star=大会のグレード。5段階に分けられており、最も高い大会が5-Starで、最も低い大会が1-Star。

 世界29カ国を巡るワールドツアーが日本で開催されるのは3年ぶりのこと。2年後の東京五輪を見据えて、五輪の競技会場となる潮風公園(東京都品川区)に近い場所に仮設コートを設置し、”プレ五輪”大会の意味も含めて行なわれた。

 今シーズン好調の坂口佳穂(22歳/マイナビ)&鈴木悠佳子(30歳/湘南ベルマーレ)ペアも、ワイルドカードを得て、同大会に出場した。



3年ぶりに日本で開催されたワールドツアーに出場した坂口&鈴木ペア

 2人は今季、国内ツアーと並行してワールドツアーも転戦しており、5月のベトナム・ハロン大会(1-Star)では3位、前週の韓国・ウルサン大会(1-Star)では準優勝と、海外でも結果を残している。ただし、表彰台に上がったのは、ワールドツアーの中で最もグレードが低い1-Starの大会だけ。出場自体も2-Starの大会までにとどまっているのが現状だ。

 そのため、坂口が「1、2-Starとは、会場の規模、盛り上がりも違うし、出場選手のレベルもまったく違う」と話す3-Starの今大会において、地元・日本開催ということも相まって、2人がどこまで戦えるのか、注目された。

 各組4チームで競うプール戦。プールEの坂口&鈴木ペアは、第1試合でアメリカのフリント&デイペアと対戦した。

 同アメリカペアは、プールEのトップシード。アメリカのツアーでも優勝している、経験豊富なペアだ。前週のワールドツアー、中国・海陽大会(3-Star)でも優勝しており、坂口&鈴木ペアにとってみれば、明らかに格上の相手だった。

 実際、第1セットから両者の力の差が出た。立ち上がりから、鈴木がサーブで押し込まれると、リズムをつかめないまま、一気に点差をつけられた。サイドアウトが切れず、坂口の武器であるサーブも決まらない。終始相手に圧倒されて、11-21とあっけなくセットを落とした。

 しかし、第2セットでは流れが一変。「もう1回、”ここから”と切り替えた」という坂口&鈴木ペアがディフェンスを立て直し、第1セットではまったく機能しなかったブロックも、フェイク(ブロックに跳ぶと見せかけて後ろに下がる)を多用してレシーブボールが上がるようになり、ゲームの主導権を握った。

「ミスしてもいいから、攻めようとした」と話す坂口のサーブも効果率が上昇。中盤までシーソーゲームに持ち込んで、その後は坂口のブロックポイントやサービスエースも決まり出して、21-17でセットを奪い返した。

 これで、坂口&鈴木ペアに流れは傾きかけたように見えたが、第3セット序盤、鈴木のスパイクなど細かいミスが続出。あっさりと相手に流れを引き渡してしまい、再びアメリカペアに置いていかれた。

 結局、1-7と点差が開くと、その差を詰めることができず、7-15でセットを失ってセットカウント1-2で敗れた。鈴木は「トスの精度や、サーブの狙いの曖昧さなど、ちょっとしたことから崩れてしまった」と悔しがった。

 プール戦第2試合の相手は、パラグアイのミッシェル&エリカペア。20歳と21歳という若いチームで、今季から積極的にワールドツアーを回っている新鋭のチームと戦った。

 第1セットは、鈴木のショット(軟打)で相手のディフェンスを翻弄。確実にサイドアウトを切って、21-17で奪った。ところが、第2セットに入ると、坂口&鈴木ペアのミスが増えた。パラグアイペアの多彩なサーブにも後手を踏んで、12-21でセットを落とした。

 セットカウント1-1に詰め寄られた坂口&鈴木ペア。第3セットもパラグアイチームに先行されたが、そこから辛抱強く踏ん張った。レシーブのポジションを入れ替え、ブロック体制も変えるなど、あらゆる手を打って終盤に追いついた。

 そして、先にマッチポイントを握ってからはパラグアイペアの根気強いプレーに苦しむも、最後は「諦めずに最後まで粘った」という坂口がスパイクを決めて、21-19でセットを奪取。セットカウント2-1で勝利をものにした。

 プール戦で1勝1敗として、坂口&鈴木ペアは目標のひとつに挙げていた決勝トーナメント進出を果たした。だが、決勝トーナメント1回戦で、日本勢では世界ランキング最上位の石井美樹(28歳)&村上めぐみ(32歳)ペアと激突。今季、国内で2度対戦して2度とも負けているチームに苦杯をなめた。

 第1セットは、坂口&鈴木ペアの攻守がともに機能。「相手の様子を見過ぎた」(村上)という石井&村上ペアの対応が遅れるなか、坂口のスパイク、ブロックも決まって21-19と奪った。だが、そこから日本ナンバー1チームが本領を発揮。石井、村上がともにサーブの強度を上げると、坂口&鈴木はサイドアウトを切れなくなって、第2セットは11-21という大差で奪われた。

 完全に流れをつかんだ日本最強ペア。第3セットもほぼ一方的なゲームとなって、坂口&鈴木ペアに成す術(すべ)はなかった。5-15でセットを落として完敗。最終的に3位となった石井&村上ペアとの実力差を、まざまざと見せつけられた。坂口が言う。

「フィジカルや技術など、相手との差を感じた試合だった」

 それでも、初めて挑んだ自国開催のワールドツアー、それも初の3-Starの大会において、坂口&鈴木ペアは通算1勝2敗、最終順位17位で終えた。プール戦を勝ち上がったこともあって、坂口は「よかったところもたくさんあった」と、多くの収穫を得られた大会だったと振り返った。

 強豪アメリカペア、国内トップペアとの対戦でもストレート負けすることなく、1セットは奪っている。その点を踏まえて、鈴木も「3-Starのレベルで、自分たちがどれぐらい勝負できるのかわかった」と手応えを口にした。

 大一番を終えて、坂口は改めて先を見つめる。

「ジャパンツアーはまだ大会が残っている。この経験を生かして、いかに上位の選手たちのなかに食い込んで、勝っていくかだと思っている」

“プレ五輪”の戦いを終えた坂口は、2年後の本番に向けて、自ら戦う姿をどれぐらいイメージできたのだろうか。その姿が、彼女の頭の中で大きく膨らんでいることを期待したい。