小澤直輝は、2017年春のアジアラグビーチャンピオンシップで日本代表デビューを果たした。

 若手主体のチームにあって、人垣へ突っ込んでは前に出て、腰を落としては相手にロータックルを浴びせた。ベストメンバーが集まる6月の代表ツアーにも、参加できる見通しだった。

 しかし、好事魔多し。所属先のサントリーで出場した練習試合で、小澤は右ひざの前十字じん帯を故障してしまう。6月は公式発表を前にメンバーから外れ、8月からの国内トップリーグにも出られなくなった。

「怪我したこと自体はショックでしたけど…」と、2018年になって時間が経ってから言う。大目標が2019年のワールドカップ日本大会出場であることを踏まえ、こう気持ちを切り替えたというのだ。

「怪我も実力のうち、自分の実力不足…と。それに2019年を考えても、時間があるという言い方はおかしいですが、(怪我をしたのが)去年でよかったなと思って。逆に今年だったら、もうどうにも…。だから、前向きにリハビリに取り組んでいました」

 辛苦を乗り越えて再起を期す小澤は、3月から日本代表の強化機関であるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)に参加している。4月のニュージーランド遠征帯同を目指し、日本代表と同種の戦術練習や走り込みにコミットする。

 昨季終盤にはサントリーの練習に復帰していたものの、試合でプレーする機会はなかった。それだけに、国内トップレベルの場に呼ばれたことへただただ感謝する。

「長いリハビリでした。ここから自分のパフォーマンスを取り戻せるよう、チャレンジしていきたいです。この期間に自分の身体がラグビーを思い出せばいいかな、と考えています」

 身長182センチ、体重103キロの29歳。国際舞台では、体格で上回る相手に真っ向勝負を挑むことが多いだろう。何より試合勘の再獲得やコンディションの維持など、自分との戦いも強いられている。だからだろうか。戦列に戻れた喜びをかみしめながらも、どこか慎重な構えだ。

 日本代表復帰への意欲を問われても、地に足をつけて「まずはしっかり100パーセントになって高いパフォーマンスを出すこと。自分をいい状態に戻すことを考えてトレーニングしたいです」。練習後は患部へ氷を当て、身体に次の練習への準備をさせる。丁寧に日々を過ごした結果、目指すべきところへ到達したい。(文:向 風見也)