壁を3Dスキャンすることで、WEB上での課題閲覧を可能にした「OnlineObservation(オンライン・オブザベーション)」。OnlineObservationとのコラボレーションでお届けする本連載では、膨大なアーカイブの中から毎月…


 壁を3Dスキャンすることで、WEB上での課題閲覧を可能にした「OnlineObservation(オンライン・オブザベーション)」。OnlineObservationとのコラボレーションでお届けする本連載では、膨大なアーカイブの中から毎月厳選した魅力的な課題を紹介していく。このサービスを体感していただくことはもちろん、課題に込められたセッターの思いなども感じてもらいたい。

 今月のピックアップは、宮城県仙台市にある「BOLZ」で昨年末に収録されたもの。この課題は黒のハリボテ(※)で統一されたBOLZ名物の “黒ボテ壁” に国産ホールド「UNDER BLUE HOLD」を用いてセットされたもの。初見で最適なムーブを思いつけるか、さっそくクリックしてオブザベーションしてみよう。
※壁から出っ張っている大振りなホールド。海外ではボリュームと呼ばれることが多い

Vol.2「黒ボテ4級 in BOLZ」

ウォール:黒ボテ壁
セッター:佐藤秀憲(BOLZオーナー)
グレード:4級
使用ホールド:UNDER BLUE HOLDほか

<3Dスキャン>

 サービス開発者の筒井氏は、このユニークな壁にセットされた課題について次のように話す。
 「Instagramで一目みた時からずっと登ってみたかった壁です。主に黒と白のボリュームで構成され、見た目が派手なラインセットと、まぶしセットの柔軟性を兼ねていて、ハイブリッド的な良さを感じられたことが印象に残っています。世界に広めたい国産ホールドでイチ押しの『UNDER BLUE HOLD』が大量に付いていて大興奮でした。正にOnlineObservationが理想とするクライミング『見るだけで楽しい、登ったらもっと楽しい』が実現されている壁だと思います」

 ラインセットやまぶしセットという言葉が出てきたが、壁に課題を作っていく際にはこの2つのスタイルがよく用いられる。まっさらな壁に課題をイメージしながらホールドを配置していき、同色のホールドで統一するなど一目でコースが分かりやすいのが「ラインセット」。そして既に壁一面に散りばめられたホールドを組み合わせて課題を作るのが「まぶしセット」だ。

 筒井氏が「日本には昔から狭い空間に十分な課題数を確保できるまぶしセットが多いですが、近年はコンペで用いられるラインセットも主流になってきています。国際スポーツクライミング連盟が五輪を意識して『観戦しやすく見て楽しめる競技』を目指している背景があり、結果的に広い面積を使ったダイナミックな動きが増えてきているのではないでしょうか」と話したように、近年のセットスタイルについても注目してみてほしい。

佐藤秀憲氏(BOLZオーナー)コメント
「大好きなUNDER BLUE HOLDを購入したらいつの間にか黒のハリボテが大量にあることに気が付いて。元々ジムのPRポイントが欲しかったので、黒で統一された壁を作ったらかっこいいんじゃないかって思ったのが黒ボテ壁誕生のきっかけです。黒だけだと味気ないのでモノクロを意識して白も入れています。この課題は抱えたり、体を預けたり、ヒールをかけたりするクライミングの動きに慣れさせることを意識し、中級者向けにセットしました」

安田雅輝氏(UNDER BLUE HOLD 制作者)コメント
「自分が作ったものを取り入れてくれるのはやはり嬉しいですね。一つの課題にアンブルだけで十分だと思っていただけるようにこれからも頑張っていきたい。(OnlineObservationについては)事前に情報を得るのは、もう普通のことになってきていますよね。宣伝に繋がりますし、ありがたいです」

 OnlineObservationには、他にも「ホールド・テープ同色セット」といった、個性的なセットスタイルのジムがアーカイブされている。公式サイトにアクセスして、様々なジムの壁をオブザベしてみよう。

<ムーブ動画>

OnlineObservation(オンライン・オブザベーション)

3D化された課題の写真や動画をPC・スマホで自由に“オブザベ”でき、かつ今までになかったライブラリとして誰でも共有、自由に投稿も可能な新時代のサービス。クライマーが閲覧することはもちろん、ルートセッターの課題ライブラリとして、クライミングジムのPR効果を狙ったメディアとしても活用されている。

CREDITS

取材・構成・文

編集部