文京学院大学女子高は、3年ぶり14度目の出場となった『JVA第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー20…
文京学院大学女子高は、3年ぶり14度目の出場となった『JVA第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー2026)』で、インターハイ準優勝の実績を誇る福岡女学院高をストレートで下し、見事ベスト8進出を果たした。全国屈指の強豪校から掴み取ったこの勝利は、チームに大きな自信をもたらすと同時に、さらなる高みを目指す上での課題を明確に浮き彫りにした。
スポーツブルは1月某日、春高バレーを終えたばかりの文京学院大学女子高を突撃取材した。大会を振り返りながら、チームが得た手応えや課題、そして今後の目標と選手たちの素顔に迫った。
日本一までの距離
「ぼんやりとしていた“目標”が、はっきりと形になった」。文京学院大女の指揮官に就任して3年目を迎えた塩谷尚正監督にとって、今大会の春高バレーは、初めて3年間を共に歩んだ選手たちと臨む特別な舞台だった。昨年の東京代表決定戦で苦杯をなめた“ライバル”共栄学園高が、その先で日本一に輝いたことで、自分たちの現在地と目指すべき場所が明確になった。
「自分たちにもできる」。そんな確信を胸に臨んだ今大会では快進撃を見せたものの、結果はベスト8で敗退。それでも塩谷監督は「楽しくて、充実した時間だった」と大会を振り返りつつ、視線はすでに次代へと向いている。「彼女たちが届かなかったセンターコート、日本一を目標にやっていく」。先輩たちの意志は後輩へと受け継がれ、その悔しさと実感が、いまのチームの基準を確実に一段引き上げている。
姉妹の絆と受け継がれる意志
キャプテンとして、そしてリベロとしてチームを支え続けた横溝采美(3年)は、大会を終えた後も大学バレーでの飛躍を見据え、体育館で汗を流し続けている。3年目にして掴んだ春高バレーの舞台について、「昨年の予選では本当に悔しい思いをしたので、こうした大きな舞台で楽しい試合ができてよかった」と、穏やかな笑顔を浮かべた。6年前の春、中高一貫の“強豪校”の門を叩いた当時を振り返り、「楽なときは一度もなかった」と語る横溝。それでも、積み重ねてきた日々が確かな手応えと実績となり、彼女を次のステージへと押し上げている。
そんな彼女の背中を、優しさと憧れの眼差しで見つめる選手の姿があった。文京学院大女中でキャプテンを務める妹の横溝ひとみ(中学3年)だ。春高バレーの舞台で戦う姉の姿は、ひときわ輝いて映ったという。「大きな舞台で試合をしている高校生を見て、自分たちもそこを目指さなければいけないと思った」。その言葉には、次の世代を担う覚悟がにじむ。コートを離れれば、2人はまるで親友のような距離感で向き合う存在だ。姉妹という立場を越え、同じ目線で悩みを共有し合ってきた。「憧れるし、尊敬しています」。その一言が、姉の歩んできた道のりと、確かに受け継がれていく意志を物語っていた。
受け継がれ、動き出す文京学院大女
春高バレーを終え、新チームとして動き出した文京学院大学女子高。その中心に立つのが、新キャプテン・佐藤杏奈だ。練習中、ひときわ響く声には、チームを前へ導こうとする覚悟がにじむ。キャプテン就任前からチームのまとめ方を考えてきた佐藤だが、実際にその立場に立つと難しさも感じているという。前キャプテン・横溝からかけられた「もっと言っていいよ」という言葉を胸に、「楽しいだけじゃ勝てない」と、厳しさと楽しさのバランスを模索しながら、自分なりのリーダー像を築こうとしている。
2年生ながらエースを担った宮嶌里歩(2年)も、新チームの軸となる存在だ。春高バレーではブロックアウトを武器に得点を重ね、大舞台で確かな存在感を示した。一方で、新チームのスタートにあたり「平均身長がない」と危機感も口にする。それでも「レシーブで粘り負けしないことが大事」と守備の重要性を強調し、負けん気の強さをのぞかせた。
今回の春高バレーでは、拾ってくれた仲間やトスを託してくれた先輩たちへの感謝を、プレーで示してきた。その思いは新チームになっても変わらない。エースとして背負う責任と向き合いながら、その姿勢は練習の一球一球に表れていた。
この日の練習には文京学院中の3年生も参加した。その中で塩谷監督が期待を寄せるのが、リベロの鈴木こころだ。鈴木は「中学とは全然違う。もっと強くならないといけない」と語りつつ、「繋いだボールを決めてもらえたときが一番うれしい」とリベロ、バレーボールの魅力を口にする。「春高で日本一になりたい」。その言葉には、新時代を担う覚悟が込められていた。
春高バレーを経て、文京学院大学女子高はすでに次の一歩を踏み出している。日本一までの距離を知り、悔しさと手応えを胸に、キャプテンが声で導き、エースが覚悟を背負う。受け継がれる意志とともに、新時代の文京学院大女は、頂点を目指して歩み続ける。
取材・文:加藤杏実(SPORTS BULL編集部)







