Jリーグは23日、町田の黒田剛監督及び町田に対し、「23年頃から所属選手らの前で、自らの意向に沿わない選手がいれば、造…

 Jリーグは23日、町田の黒田剛監督及び町田に対し、「23年頃から所属選手らの前で、自らの意向に沿わない選手がいれば、造反者といった表現を用いて排除する意図を持った発言や、練習中に選手及びスタッフの前で特定のコーチに対して大声で怒鳴る行為、懇親会の場でスタッフに対する暴言等の不適切な発言があった」として、けん責の処分を科したと発表した。

 リーグが発表した懲罰の理由。

 〈1〉黒田監督の行為は、指導者である監督として、自らの配下にある選手、コーチ又はスタッフに対して行った暴言ないし不適切な指導であり、指導者の選手その他チーム関係者に対する暴言を禁じるJFAの指導者に関する規則及び指導者による不適切な指導を禁じるJFA懲罰規程に違反する。選手その他チーム関係者の尊厳及び価値を尊重すべきことを定める同規則に違反し、JFAの定款及びこれに付随する諸規程を遵守する義務を定めるJリーグ規約に違反する。また、社会的規範を尊重して行動すべき義務を定める項目、Jリーグの信用を毀損した点においても違反する。

 〈2〉本件クラブ(町田)は、Jリーグ規約及びJFAの定款並びにこれらに付随する諸規程を遵守する義務があり、配下の監督、選手等の関係者がこれらに違反しないよう管理監督し、仮に違反行為があれば、これを直ちに是正しなければならないところ、後述のとおり、本件クラブは、監督の業務執行を適切に管理・監督し、違反行為を早期に発見して是正するために必要な体制を整備しておらず、内部統制上の不備があったことは明らかである。

 懲罰量定に際し参考とした事情。

 〈1〉黒田監督の本件違反行為に暴力等有形力の行使は含まれておらず、規律違反としての悪質性の程度が極めて高いものとはいえない。

 〈2〉黒田監督は、本件違反行為の存在を基本的に認めておらず、真摯に反省しているとは言い難い状況にあった上、本件違反行為を含む調査対象となった言動に関し、多くのチーム関係者に真実を語ることを躊躇させるような発言を行った。

 〈3〉本件クラブは、本件違反行為を含む調査対象となった黒田監督の言動に関し、弁護士で構成される特別調査委員会により調査を行った。しかしながら、同委員会による当初の関係者のヒアリングに本件クラブの顧問弁護士を同席させ、黒田監督とヒアリング対象となるチーム関係者が通報内容に関してやり取りすること等を規制しなかったことにより、本件クラブが黒田監督を守ろうとしているとの印象を関係者が持つに至っている。これらは調査対応の不備と言わざるを得ず、チーム関係者の多くに率直な供述を躊躇させる結果となり、真相解明に支障をきたした。

 〈4〉本件クラブは、メールによる相談窓口を設置していたが、相談に係る事実の確認は本件クラブの経営陣が行うこととされており、本件クラブの経営陣が関与する事象について相談できる相談体制を構築していなかった。

 〈5〉本件違反行為は強化部のメンバーやコーチ等がいるところでなされており、本件クラブには、早期に問題行為を把握して是正する機会があったのに、本件クラブの経営陣及び強化部から黒田監督に対して注意する等のけん制機能が働かず、外部への通報が行われるまで問題行為が放置、継続された。

【会見で明らかにされた本件の経緯】

 ▼25年2月にJFA暴力等根絶相談窓口に通報が行われ、JFAからJリーグのコンプライアンス部門に共有される

 ▼その後、通報内容の事実関係の調査をクラブへ依頼

 ▼4月下旬、調査結果に対して報告書の提出

 ▼Jリーグ側からいくつかの観点で調査を行ってほしいとクラブに求める。内容の一部についてクラブが再調査の実施を決定

 ▼クラブの二次の調査では調査対象者を改めて確認する必要があり、特別調査委員会で選手・スタッフ等の関係者にアンケートや、ヒアリングを実施(時期は6月~9月頃)

 ▼あわせて、Jリーグでもクラブが立ち上げた特別調査委員会の調査結果の信用性を判断するため、主要な関係者に対するヒアリングを実施(9月~11月まで、のべ12回)

 ▼クラブから提出された調査報告書の最終版と、Jリーグ独自に話を聞いた内容を含め、総合的に裁定委員会で判断