“セクシーフットボール”のキャッチフレーズとともに、2005年度(第84回大会)の全国高校サッカー選手権を制し、一大旋…

 “セクシーフットボール”のキャッチフレーズとともに、2005年度(第84回大会)の全国高校サッカー選手権を制し、一大旋風を巻き起こした滋賀県立野洲高が、劣化が目立つ人工芝サッカーグラウンドの全面改修を行うことを目的に、クラウドファンディングを開始した。支援募集期間は来年3月までで、目標金額は1億円。同校の上品(うえしな)充朗校長(56)は「全国制覇を達成したサッカー部をもう一度盛り上げたい」と力を込める。近年は部員数減少などの課題も抱える中、環境を整備して、セクシーフットボールの復活を掲げる。

 元日本代表MF乾貴士らを擁し、高速ドリブルと長短のパスを駆使したサッカーで05年度の選手権を制した野洲高サッカー部。滋賀県勢初の全国制覇を契機に、07年に県予算により人工芝サッカーグラウンドが完成した。野洲の魅力的なサッカーに加え、当時は珍しかった人工芝専用グラウンドにもひかれて同校への進学を希望する選手も多くいた。

 しかし、完成後は一度も張り替えられることなく、約18年が経過。一般的に人工芝の耐久期間とされる7~10年を大幅に過ぎたまま、今日を迎えている。人工芝パイルの摩耗や劣化は激しく、ツルツルの状態。転倒などによる負傷報告も増えている。また、入学希望者がグラウンドを見学して志望校を変更するケースも出ており、入学者の減少にも影響している。

 高校サッカー界で一時代で築いた野洲も全国の舞台には16年(第95回大会)の出場を最後に遠ざかる。現在2年生部員は3人しかおらず存続の危機を迎えたが、1年生が20人以上入部したことで活動が続いている。サッカー部OBで同校保健体育教諭の横江諒監督(34)を中心に立て直しを図っているものの、このような状況だけに練習環境の整備は最優先課題だ。

 県には以前から人工芝の張り替えを要望しているが、見積もり費用が1億円と高額なこともあり、実現していない。同校は、このままでは状況が変わらないとして、同窓会、PTA・後援会とともに10月に一般社団法人「シン野洲高校応援会」を設立。改修資金を集めることに動き出した。

 今月18日からは国内最大級のクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」を通じて、「野洲の未来を芝でつなぐ ~野洲高校サッカー部人工芝の全面張替プロジェクト~」と題し、プロジェクト支援受け付けを開始。返礼品には公式戦使用ユニホームやサッカー部のエンブレムをデザインしたタオルマフラーなどを用意し、開始から3日間で50万円を突破した。上品校長は「全国優勝した時の野洲のサッカーを覚えてくれている方々が支援してくれたのだと思う。もっと告知していきたい」と呼びかける。地域の子どもたちへの夢へとつながるセクシーフットボールの復権へ、プロジェクトを進めていく。

 ◇滋賀県立野洲高校 1944年に滋賀県野洲郡立女子農芸学校として開校し、83年に全日制普通科となった県立校。サッカー部は84年の創部で、乾貴士、青木孝太、楠神順平、内野貴志、田中雄大、荒堀謙次ら多くのJリーガーを輩出している。全国選手権には10回出場。