日本相撲協会は22日、初場所(来年1月11日初日、両国国技館)の新番付を発表し、元大関・朝乃山(31)=高砂=が9場所…

 日本相撲協会は22日、初場所(来年1月11日初日、両国国技館)の新番付を発表し、元大関・朝乃山(31)=高砂=が9場所ぶりに再入幕を果たした。三段目転落からの幕内復帰2度は史上初。東京・墨田区の高砂部屋で取材に応じ、来年の目標に三役返り咲きを掲げた。新大関の安青錦(21)は東京・江東区の安治川部屋で会見。朝白龍(26)=高砂=、羽出山(はつやま、26)=玉ノ井=が新入幕となった。

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 朝乃山が左膝の大けがを乗り越え、9場所ぶりに返り入幕を果たした。新入幕会見を終えたばかりの弟弟子・朝白龍と番付表を手に笑顔で記念撮影に納まると、すぐに表情を引き締めた。「無事に上がれて良かった。幕内に復帰してからが本当の勝負だと思っている。来年は飛躍の1年にしたい」と言葉に力を込めた。

 元大関は今年を表す言葉を求められると、色紙に「不屈」と記した。21年に新型コロナ感染対策ガイドライン違反で番付を大関から三段目まで落とした。再起を果たすも昨年7月の名古屋場所で左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがを負った。3場所連続で全休。今年の春場所で三段目から出直しとなった。

 幕内から三段目に2度転落しながら、ともに返り咲いた例はない。「1回目は自分の過ち。今回は自分の気持ちが折れなかった。お世話になっている方々に支えられて今の自分がある」。不屈の精神を体現し、十両を2場所連続12勝で通過。史上初の復活劇を演じた。

 もう1枚用意された色紙には、来年の抱負を迷わず「三役」と書いた。「次の目標は三役と決めている。また新たに大関を目指していきたい」。31歳はかつての自己最高位を見据えると同時に、再び大けがに見舞われるようなことがあれば進退に直結するとの悲壮な決意も語った。「これが本当のラストチャンス。自分の道は頂点か、引退しかない。目標を高く持って来場所から頑張っていきたい」。覚悟を決め、1年半ぶりの幕内土俵に上がる。(林 直史)

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 ◆朝乃山の三段目転落からの再起 24年春巡業で右膝を負傷。三役復帰の夏場所に出場できず。東前頭12枚目だった名古屋場所4日目の一山本戦で負傷し、左膝前十字じん帯断裂などで2か月間の休務加療。再建手術を受け、3場所連続全休。25年春場所で三段目で復帰し、全勝優勝。幕下で夏場所から2場所連続勝ち越し、再十両の秋場所は12勝3敗。西4枚目に番付を上げ、九州場所も12勝3敗を挙げた。