フィギュアスケートの2026年ミラノ・コルティナ五輪代表を決める全日本選手権が19日、東京・代々木第一体育館で開幕する…
フィギュアスケートの2026年ミラノ・コルティナ五輪代表を決める全日本選手権が19日、東京・代々木第一体育館で開幕する。シニアデビューした今季、グランプリ(GP)ファイナルで日本勢最上位の2位など躍進する17歳・中井亜美(TOKIOインカラミ)が初Vでの五輪切符獲得に挑む。18日の公式練習では、武器の大技・トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を着氷させ好調をアピールした。
シニアで初めて臨む全日本選手権、中井はミラノ五輪へ鋭い視線を送った。「夢舞台であり、一番目標にしている舞台。絶対にかなえたい夢であり、今、目の前に来ているので。絶対に、逃してはいけないチャンス」。シーズン当初は思いも描かなかった代表権獲得への思いを、堂々と口にした。
躍進の五輪シーズンを迎えている。GPシリーズ第1戦、フランス大会で初出場V飾って世界を驚かせた。ミラノ五輪前哨戦のGPファイナルでは、日本勢最上位の2位。代表選考レースで一歩前に出た。今大会初優勝なら代表に一発内定だが、全日本4連覇中の坂本花織、昨季世界選手権3位の千葉百音ら壁は厚い。中井も「優勝は、そこまで意識していない」と言いつつ、「今は表彰台に乗れたらいいな、という気持ち」と自然体を強調。選考レースで優位な立場にいるだけに、今大会の表彰台を確保すれば、五輪切符はグッと近づく。
この日の最終調整でも好調ぶりをアピールした。曲をかけての練習では、3回転ルッツ―トウループの連続ジャンプなどを着氷。曲かけ後にはギアを上げ、3本の3回転半を着氷させた。「とてもいい練習ができた」と納得の表情。五輪を争う舞台の重圧も「今のところ、全く感じていないかなと。この調子のまま、気持ちも乗って行けたら」と頼もしい。
シニアデビュー・シーズンでの初制覇なら、04年の安藤美姫以来、21年ぶりの快挙となる。トリプルアクセルは、SPとフリーで1本ずつ入れる構成だ。夜に行われたショートプログラム(SP)滑走順の抽選会では祈るように手を合わせ、前の番の青木祐奈が最終30番滑走を引き当てると笑顔。自身は24番滑走となった。「緊張感を乗り越えた先に、オリンピックがある。まずはしっかりと乗り越えられるように、頑張りたい」。17歳は勢いそのままに、夢舞台への道を切り開く。(大谷 翔太)
◆中井亜美の今季 チャレンジャーシリーズ、ロンバルディア杯でシニア国際大会デビュー。合計206.04点で2位に入った。GPフランス大会では日本勢3人目のGPデビューVを飾った。SPで記録した78.00点は今季最高得点。スケートカナダでも3位に入り、6人しか出られないGPファイナルに進出。合計220.89点で日本勢最高の2位に入った。
◆フィギュアスケートのミラノ・コルティナ五輪代表選考 各3枠の男女は全日本優勝者が自動的に代表入り。2人目は全日本2、3位やGPファイナルの日本勢上位2人(男子は鍵山と佐藤、女子は中井と坂本)、全日本終了時点で国際スケート連盟(ISU)公認のシーズン最高得点の上位3人から選ぶ。3人目は世界ランキングや日本スケート連盟独自の国際大会ポイント上位3人などを選考対象に加える。女子の島田と男子の中田のジュニア勢は年齢制限で対象外。2枠のペアは三浦、木原組と長岡、森口組、五輪団体要員1組のアイスダンスは吉田、森田組のみが五輪出場資格を満たしている。