<プロボクシング:トリプル世界戦>◇17日◇東京・両国国技館プロボクシング元WBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟(3…

<プロボクシング:トリプル世界戦>◇17日◇東京・両国国技館

プロボクシング元WBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟(30=倉敷守安)が復帰戦を一発KO勝利で飾った。元世界ランカーのヴィンセント・ラカール(28=フィリピン)を3回54秒、右ストレートでリングに沈めた。今年3月に寺地拳四朗(BMB)とのWBA、WBC世界同級王座統一戦に12回TKO負けして9カ月。完全復活を印象づけて、来年は1階級上のスーパーフライ級で世界王者を目指す。

4年5カ月ぶりのKO劇は右の一撃で決まった。3回40秒すぎ、相手の左フックに合わせて阿久井が右ストレートを打ち込んだ。ダウンしたラカールは立ち上がったがレフェリーはそのままカウントアウト。「練習していた右。感触のいいパンチでした」。被弾もない完璧な勝利だった。

3月に寺地に敗れてからボクシングを一から作り直してきた。「これまでは前に行くのが自分のスタイルでしたが、下がったり、フェイントをかけたり、組み立てや、タイミングを意識した」と阿久井。1回から右ジャブでペースをつかみ、2回にはボディーブローで圧倒した。

世界王者時代の昨秋から地元・岡山県の母校・環太平洋大で週5日のフィジカルトレーニングを続けている。「負けて辞めようと思ったけど、そこのサポートチームから“サポートチーム第2弾”というレジュメを渡されて、これは辞められないと思った」という。

今年6月には第3子の長男忠政(ただまさ)くんが誕生。王座返り咲きへ向けて負けられない理由が増えた。「一番下の子だけが、世界チャンピオンの姿を見ていないので見せたい」。この日は2番目の子どもが発熱したため、残念ながら会場に来られなかった。

現在もWBA、WBC、WBOでフライ級3位にランクされているが「フライ級に落としたらしんどいのでスーパーフライを視野に入れてやっていきたい」。来年は一気に2階級制覇を狙う。【首藤正徳】

◆ユーリ阿久井政悟(あくい・せいご) 1995年(平7)9月3日生まれ、岡山・倉敷市出身。リングネームのユーリは先輩から顔が元世界王者勇利アルバチャコフ似と指摘されたことから。中学2年からボクシングを始める。倉敷翠松高で2、3年時に国体8強、環太平洋大に進学。アマ戦績20勝7敗。14年4月プロデビュー。19年10月に日本フライ級王座獲得し3度防衛。家族は夢夫人と2女、1男。24年1月にWBA世界同級王座獲得し2度防衛。身長163センチの右ボクサーファイター。