◆プロボクシング ▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇王者アンソニー・オラスクアガ(4回2…

◆プロボクシング ▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇王者アンソニー・オラスクアガ(4回2分37秒TKO)同級4位・桑原拓●(17日、東京・両国国技館)

 WBO世界フライ級タイトルマッチが行われ、挑戦者の同級4位・桑原拓(30)=大橋=は、王者アンソニー・オラスクアガ(26)=米国/帝拳=に4回2分37秒TKOで敗れ、王座奪取はならなかった。桑原は2度目の世界挑戦だった。世界4団体スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一王者・井上尚弥(32)=大橋=らが所属する大橋ジムからは6人目の男子世界チャンピオン誕生は持ち越しとなった。オラスクアガは4度目の防衛に成功した。

 桑原は王者の強烈なジャブに再三顔をはね上げられながらも果敢に左右の拳を振った。しかし、ラウンドを重ねるごとに顔が腫れだし、4回終盤にはコーナーを背負って防戦一方に。ガードを固めて顔を守ったが、連続で強打を被弾したところでレフェリーが間に入って試合を止めた。

 リングサイドには桑原陣営に井上尚、オラスクアガ陣営には世界3階級制覇王者・中谷潤人(27)=M・T=が応援に駆けつけた。来年5月に対戦が期待される両雄の“代理戦争”を制したのは、米国の「プリンセサ(オラスクアガの愛称)」だった。

 2024年5月に東京ドームで世界初挑戦を果たした桑原だったが、当時WBA王者のユーリ阿久井に判定負け。その後再起を図り、今年3月にはハムソン・ラマンダウ(インドネシア)を5回KOで下した。6月には52・0キロ契約8回戦で湊義生(JM加古川)と対戦を予定していたが、5月のスパーリング中にアキレス腱を部分断裂して試合は中止となった。それでも1か月半ほどで練習を再開。12月18日に後楽園ホールでフー・ロンイー(中国)と51・5キロ契約8回戦を戦う予定にしていたものの、当初オラスクアガに挑戦予定だった飯村樹輝弥(27)=角海老宝石=が負傷で辞退。急きょ世界戦のチャンスが巡ってきた。

 「前回は初めての世界戦ということで、気持ちの持っていき方というものが完璧ではなかった。今回は完璧に進んで、最高のコンディションでここに来られた」と桑原。復帰戦に向けては、9月からWBA世界バンタム級王者・堤聖也(29)=角海老宝石=をはじめ、同門の田中将吾、大みそかにWBA世界ライトフライ級挑戦者決定戦に臨む吉良大弥(22)=志成=らとスパーリングを重ねてきた。その結果、「体に張りはあるし、筋肉も大きくなって、サンドバッグやミット打ちでも威力、衝撃力が自分でも違うと感じた」ほどだったが、世界の頂点という夢は持ち越しとなった。