◆プロボクシング・トリプル世界戦 ▽WBA世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 正規王者・堤聖也―暫…
◆プロボクシング・トリプル世界戦 ▽WBA世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 正規王者・堤聖也―暫定王者・ノニト・ドネア▽WBA・WBO世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座統一戦12回戦 WBA王者・高見亨介―WBO王者・レネ・サンティアゴ▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者アンソニー・オラスクアガ―同級4位・桑原拓(12月17日、東京・両国国技館)
トリプル世界戦の前日計量が16日、都内のホテルで行われ、出場全選手が1回でパスした。WBA世界バンタム級正規王者の堤聖也は、世界5階級を制覇したWBA世界同級暫定王者ノニト・ドネアとの大一番へ「負ければ終わり、勝てば次につながる」と不退転の覚悟を示しつつも「準決勝」と通過点であることを強調した。2団体王座統一戦に臨むWBA世界ライトフライ級王者・高見亨介、2度目の世界挑戦となるWBO世界フライ級4位・桑原拓も必勝を誓った。
堤は計量後の2ショット撮影時、ドネアの全身をまじまじと見つめた。「思ったより大きいかな。握手した時もごつい感じだった。あと顔がちっちゃいな。リーチも10センチぐらい(ドネアが)長いので、面倒くさいことは想定している。あとは明日、リングで確認してですね」。描いていたドネア像を補完し、試合のイメージをつくり上げた。
世界5階級制覇王者と、いよいよ拳を交える。フェースオフで対峙(たいじ)しても「レジェンドのオーラとかは何も考えていない。ただ、対戦相手がそこにいるだけ」と平常心を貫いた。「すごく落ち着いて集中している。いい感じの時のメンタルと似ている」。泰然自若として決戦に臨む。英大手ブックメーカーのウィリアムヒルは、堤の勝利に1・33倍、ドネア勝利に3・25倍のオッズを設定。有利予想にも「ドネアを低く見過ぎてるのかな。あまり気にしていない。一発がある相手なので、疲れる12ラウンドになる。やるべき仕事を淡々とこなしていくだけ」と気を引き締めた。
「負ければ終わり、勝てば次につながる」。日本王者の時から毎試合、不退転の覚悟で挑んできた。「決勝戦がいつ来るか分からないが、ずっとずっと準決勝のような感じ」。昨年10月、高校時代から目標にしていた当時のWBA王者・井上拓真(大橋)を判定で下し、世界王座を獲得した。「拓真戦の時は決勝戦だと思っていたが、また準決勝をやり直しているみたい」と話し、ドネア戦も「準決勝でしょ」と苦笑した。
ドネアに勝てば、WBC同級王者となった拓真との王座統一戦や、大みそかにWBA挑戦者決定戦に臨む元世界4階級制覇王者・井岡一翔(志成)らとの対戦も見えてくる。「決勝戦が何になるかは分からないが、勝つしかない」。レジェンドを超え、未来を切り開く。(勝田 成紀)