阪神石井大智投手(28)が、メジャー挑戦を直訴した。12日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2倍以上とな…
阪神石井大智投手(28)が、メジャー挑戦を直訴した。12日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2倍以上となる1億1800万円増の年俸2億円でサイン。独立リーグ出身では初の2億円に到達した。今季はNPB新の50試合連続無失点をマークするなど球史に名を刻んだ右腕。交渉では来オフ以降にポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を希望した。
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石井は引き締まった表情を見せた。今季は球史に名を刻んだ右腕。言葉に力を込めて野望を口にした。
「今後の将来を考えた時にアメリカの野球を経験させていただきたいというのを伝えました。まだ海外FAまでは時間がある。その中で僕らはいつ投げられなくなってもおかしくない」
決意の表れだった。「ファンの方々にもそれをわかっていただけるのは、すごく自分にプレッシャーをかける」。球団には思いが芽生えた昨年から伝え、この日の交渉の場で正式に話した。そして、初めて公にした。
プロ5年目の今季はNPB新50試合連続無失点をマーク。登板53試合で驚異の防御率0・17を記録し、リーグ優勝の原動力になった。「独立リーグの時から上のレベルを目指すことに1日1日時間をかけている。数字的にはよくできたが内容はまだまだ。レベルアップしてメジャーで通用する力をつけたい」と向上心を持ち続ける。
早ければ来オフにでも挑戦する可能性もゼロではない。海外FA権での移籍ではなく「球団に権利があるけど、ポスティングというのを少しお話しさせていただきました」と明かした。海外FAを取得する頃には30歳を超える。だからこそポスティングだった。球団で過去にポスティングシステムを利用して米移籍したのは井川、藤浪、青柳の3選手。石井だけではなく才木、佐藤輝も昨オフからメジャー移籍の希望を球団に伝えている。
もちろんまずは来季の活躍を目指す。初の個人タイトル獲得も目標の1つとする。来年3月に行われるWBC出場にも意欲を見せる。「会見でこういうことを言う人生になるとは思わなかった。まだまだ足りない部分は本当にたくさんある」。高専出身、独立リーグ出身初の2億円プレーヤーになった。異色の道を突き進んできた右腕のサクセスストーリーはまだまだ続きがある。【塚本光】
▽阪神竹内副本部長(石井のメジャー移籍希望について)「(ポスティングシステム利用でのメジャー挑戦の話は)あったことは事実です。全く認めていないわけではない。こちら(球団側)の権利ですので、思いは受け取ったが、最終的判断はこちら側。何も今、言及することはないです。流れを見守っていきながらという感じにはなると思う」