J3アスルクラロ沼津MF鈴木拳士郎(29)は愛する地元クラブのために全てを出し切る。14日はホームでJFLレイラック滋賀…
J3アスルクラロ沼津MF鈴木拳士郎(29)は愛する地元クラブのために全てを出し切る。14日はホームでJFLレイラック滋賀との入れ替え戦第2戦が行われる。アウェーでの第1戦は2-3で惜敗。J3残留へは勝利が絶対条件となるゲームで沼津市出身の29歳が奮起を誓った。10月に右膝関節内側側副靱帯(じんたい)を損傷したが、シーズン終盤で戦列復帰。クラブの命運をかけた今季ラストマッチで不屈の魂を見せる。
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愛するクラブをJFLに落とすわけにはいかない。沼津の鈴木拳は覚悟と責任を胸にピッチに立つ。J3残留へは次戦での勝利が絶対条件。引き分けも許されない一戦に向け、「小学校からお世話になっているクラブを落としてはいけない。その気持ちはみんなよりも強い」と鬼気迫る表情を見せた。
沼津市出身で本拠地がある「愛鷹」のスポーツ少年団でサッカーを始めた。小、中学時代はクラブの下部組織でプレー。沼津がJ3に初参戦した17年は関大在学中だったが、「当時からずっと気にして見ていた」。地元にJクラブが誕生した喜びと興奮は今でも鮮明に覚えている。18年に讃岐でプロキャリアをスタートさせ、20年に沼津に加入。在籍6年目で迎えたクラブ最大のピンチで人一倍燃えている。
アウェーでの第1戦はフル出場。2-3の敗戦にも「思ったよりできた」と悲観はしなかった。今季は10月5日の高知戦で右膝を負傷。全治約8週間と診断され、今季中の復帰が絶望的だった中で、予定よりも約2週間早くカムバックした。全てはクラブのため。プレー中は今も厳重なテーピングが必要。ケガは完治していないが、沼津のためなら足は動く。
J3初参戦から今年で9年目。1度も降格せずに戦ってきた過去の歴史も胸に秘めて戦う。「みんなよりも走って、みんなよりも気持ちを出す。次が(今季)ラストなので足をケガしてもいい。体を張ったプレーをしたい」。残留か、降格か。クラブの命運をかけた90分間にサッカー人生をかける覚悟だ。【神谷亮磨】
◆沼津のJ3残留条件 ホーム&アウェーで行われる入れ替え戦は勝利数で結果が決まる。アウェーでの第1戦は2-3で敗れたため、第2戦は勝利が必須。90分間で残留を決めるためには2点差以上での勝利が必要になる。1点差での勝利は得失点差で並ぶため、15分間ずつの延長戦が行われ、決着がつかなければPK戦で勝負を決める。引き分け以下の場合は降格となる。