夢を追いかけ、4年生2人が新天地へ羽ばたく。南東北大学リーグに所属する石巻専大で、主軸を担った吉岡尚樹内野手は、地元の宮…
夢を追いかけ、4年生2人が新天地へ羽ばたく。南東北大学リーグに所属する石巻専大で、主軸を担った吉岡尚樹内野手は、地元の宮城・石巻市を拠点とする日本製紙石巻へと進む。生まれ育った地で“最高の親孝行″とプレーでの恩返しを誓った。エース岡本寛太投手は「NPB」入りを目指し、独立リーグの四国アイランドリーグplus高知ファイティングドッグスに入団する。
【取材・構成＝木村有優】
◇ ◇ ◇
地元のヒーローに－。幼少期から吉岡には社会人企業チーム、日本製紙石巻の存在があった。「かっこいい」。地域を背負って戦う選手たちの姿に、少年は目を輝かせていた。時は流れ、憧れ続けたチームへの入部が内定した。「まさか自分が」と驚きを見せるも「家族もすぐに試合を見に来れるので、少しは親孝行できたのかなと思います」と喜びが隠しきれなかった。大学入学当初から志してきた社会人野球チーム入りの夢を、地元でかなえた。しかも、都市対抗6度、日本選手権3度出場の強豪だ。
「4番」に座る右の大砲。広角に長打を打つ楽天浅村の打撃フォームを参考にしてきた。守ってはメインの遊撃に加え、一塁や三塁も器用にこなす。1年春からスタメンに定着し、チームの軸として活躍してきた。だが、ここまでの道のりは決して平たんではなかった。
3年春は出場機会に恵まれなかった。「本当に（野球を）辞めようか悩んだ時期でした。モチベーションもなくて、練習にも身が入らなくて」。歯車がかみ合わず、思うようにいかない日々が続いた。それでも、プロ入りの夢をかなえられなかった兄の存在。さらに、東北生文大高時代の恩師で、昨年「育成功労賞」も受賞した水沼武晴さんにも背中を押された。「こんなところで辞めていられない」。周りの人たちの存在が、吉岡を奮い立たせた。
それからは、トレーニングに詳しい友人に教わり、本格的にウエートに力を入れ、打撃が飛躍的に伸びた。3年秋には、今秋ドラフト候補にも名が挙がった東日本国際大・阿字悠真投手（4年＝滋賀学園）からバックスクリーン弾。4年春は3本塁打で初タイトルとなる「本塁打王」を獲得するなど、結果で示した。「やってきてよかった」。努力が報われた瞬間だった。
「苦しい時期を乗り越える力が一番身につきました」。4年間で一回りも、二回りも大きく成長した。まだまだ、吉岡の野球物語は続いていく。これからも、地元・石巻を照らす存在になる。
◆吉岡尚樹（よしおか・なおき）2003年（平15）8月30日生まれ、宮城県石巻市出身。蛇田イーグルスで野球を始め、中学は石巻中央リトルシニアでプレーし、東北生文大高では1年秋からベンチ入り。石巻専大では1年秋からベンチ入りし、4年春には「本塁打王」を獲得。178センチ、90キロ。右投げ右打ち。遠投100メートル。憧れの野球選手は楽天浅村栄斗。趣味はドラマ鑑賞。
