JRAは12月11日、令和8年度の新規調教師試験の合格者を発表した。現役ジョッキーの和田竜二騎手=栗東・フリー=、藤岡…

 JRAは12月11日、令和8年度の新規調教師試験の合格者を発表した。現役ジョッキーの和田竜二騎手=栗東・フリー=、藤岡佑介騎手=栗東・フリー=ら計4人が合格し、東西トレセンで記者会見が行われた。

 真っすぐ前を見つめ、和田竜二騎手は誠実に言葉を紡いだ。師匠の岩元市三元調教師に憧れ、目指した調教師への道を切り開いた。「ホッとしました。(受験も)3回目になりますし、これが最後くらいの気持ちで受けました。家族の支えのおかげ」と率直な胸の内を明かした。

 福永祐一(現調教師)らが同期にいる競馬学校「花の12期生」。騎手としての“ハイライト”でもあるテイエムオペラオーとの出会いは、デビュー3年目の98年。翌99年皐月賞でG1初制覇を飾ると、00年にはG1・5勝を含む重賞8戦8勝。破竹の快進撃で同年の年度代表馬に導いた。「今でもテイエムオペラオーの背中の感覚が基本で競馬に乗っている。そういう馬を見つけて、歴史的な名馬に育てられるように頑張っていきたい」と力を込めた。その相棒と3着に終わった日本ダービー制覇も調教師としての目標のひとつだ。

 「岩元先生に憧れを抱いていたので、騎手の後は先生のような誠実な調教師になりたいと思っていた」。転身を真剣に考え始めたのは3年ほど前。長男・陽希(はるき)騎手が今年3月にデビューしたことも要因だ。昨年10月には右大腿(たい)骨など複数箇所を骨折。復帰まで4か月を要する大けがを負ったが、入院中もリハビリと並行して勉強を続けた。攻めの姿勢を貫いた騎乗スタイルと同様に、決してあきらめなかった。

 「岩元先生と一緒に牧場を回ったりする夢もあるし、またじっくりと話したい。技術の探求でここまで乗って来ましたし、馬の新たな一面を見つけていきたい」。積み重ねてきた1531勝。来年2月末にステッキを置くまで技術を磨き続け、新しいステージへ進む。

    (戸田 和彦)