26年シーズンでプロ19年目を迎えるソフトバンク中村晃外野手(36)が5日、福岡市内の球団事務所で契約交渉に臨み2000…

26年シーズンでプロ19年目を迎えるソフトバンク中村晃外野手(36)が5日、福岡市内の球団事務所で契約交渉に臨み2000万円アップの年俸1億2000万円+出来高でサインした。今季は「代打1本」からチーム故障禍で「4番」を務めるなどリーグ連覇の立役者となった。日本ハムとのCSファイナル後に腰を手術。阪神との日本シリーズは不出場となった悔しさは来季のシリーズ連覇で果たすつもりだ。

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中村はボソリと言った。「やっぱりうれしいですよ」。来季、プロ19年目を迎えるホークス最古参。ベテランと呼ばれながら年俸アップは珍しい。「打率は2割4分ですからね」。今季の数字を振り返ると大きく胸を張ることはできないが、それでもこの男の「存在感」がチーム連覇に導いたのは間違いない。

開幕は「代打の切り札」が役目だった。近藤、柳田の故障離脱。山川の打撃不振もあって「4番」も務めるなどシーズン116試合に出場。8月26日の楽天戦(弘前)では通算1500安打を3号ソロで決めた。メモリアルの一打を振り返った中村は「シーズン当初は想像できなかったので、素直にうれしかった」と頬を緩めた。長期4年契約が終了した22年オフ以来、3年ぶりとなる「昇給」。36歳となった男に妥協はなかった。一塁守備、バント練習も欠かすことなく続け、準備の大切さをその姿でチームに浸透させた。小久保監督はリーグ連覇の立役者に中村の名前を挙げた。代打起用から前言撤回し、打順は4番を含め、2番から6番まで先発起用。リーグ優勝を決めると殊勲の活躍と称賛したほどだった。

プロ19年目となる来季は苦しみの中からさらに活路を見いだすつもりだ。日本ハムとのCSファイナル直後に腰部ヘルニアが悪化。11月5日には手術を受け、阪神との日本シリーズは欠場。優勝パレードにも参加できなかった。退院が決まった同8日には闘病を続けていた父幹雄さんが亡くなった。中村にとっては「明暗」の分かれる波乱の1年でもあった。

「強いホークスであり続けるために3連覇、4連覇、5連覇と続けられるように僕も頑張りたい」。年明けはファーム施設のリハビリ組からスタートも、不言実行の男は好転の新シーズンとするつもりだ。【佐竹英治】