◆第26回チャンピオンズC・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル)=12月2日、栗東トレセン 額に輝く2…

◆第26回チャンピオンズC・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル)=12月2日、栗東トレセン

 額に輝く2つのハート。ダブルハートボンド(牝4歳、栗東・大久保龍志厩舎、父キズナ)。馬名の由来で、ファンをも魅了する特徴だ。初の混合重賞だった前走のみやこSを1分47秒5のJRAレコードで牡馬を蹴散らした。7戦6勝、2着1回。強くてかわいい牝馬が、初のG1挑戦でダート界の屈強な猛者に立ち向かう。

 普段は調教パートナーの八木助手が「ボンちゃん」と呼ぶおっとりとした女の子。「牝馬だけどカッカすることもなくて、馬房ではゆっくりボーッとしている」。調教でも手がかからない優等生タイプだが、レース前のパドックで騎手がまたがるとスイッチオン。気合も乗って、競馬モードに突入し最大限のパフォーマンスを発揮する。「オンオフがしっかりしてますね」。レース以外で無駄なエネルギーを消耗しない。一流馬に必要な資質を持ち合わせている。

 前走のみやこSでは、1000メートル通過59秒3の速めの流れを2番手追走。3角手前で先頭に立つ強気の競馬でねじ伏せた。心配されたレコードの反動も少なかったため、中3週でここへ。この日は栗東・坂路を62秒0―14秒6でキャンター。「前走も速いタイムでしたし、心肺機能はできている」と同助手。軽快なフットワークからも、ダメージは感じられない。

 今年で26回目を迎えるチャンピオンズC(ジャパンCダートも含む)で牝馬が勝ったのは、15年のサンビスタただ一頭。フェブラリーSではG1昇格後、未勝利と、パワーで劣る牝馬は苦戦が続いている。だが、舞台はデビュー3連勝した無敗の中京1800メートル。レコードで制した前走内容からも期待せずにはいられない。「一線級が相手ですし、チャレンジャーの気持ち」と同助手。日本初の女性首相が誕生した今年。年末の尾張で、ダブルハートボンドが牡馬の壁を突き破る。

(戸田 和彦)

 ○…ダブルハートボンドとコンビを組む坂井瑠星騎手は23、24年をレモンポップで優勝。武豊(04、05年)、藤田伸二(10、11年)に続く史上3人目となる連覇を達成し、今年は当レース初の3連覇がかかっている。デビューからの7戦すべてで手綱を執り、その能力を高く評価。前走のみやこS後には「牡馬相手に重賞を勝てましたし、次も楽しみです」とG1での好勝負を期待していた。