2人の「パパレスラー」が、競技でも、家庭でも、「張り合い」を見せている。2024年パリ五輪(オリンピック)レスリング男子…
2人の「パパレスラー」が、競技でも、家庭でも、「張り合い」を見せている。2024年パリ五輪(オリンピック)レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級の文田健一郎(29)と、同フリースタイル57キロ級の樋口黎(29)の両金メダリストはともに2児の父。文田は今年4月、樋口は9月に第2子が生まれた。2人とも家族の協力も得ながらレスリングと子育ての両立に奮闘している。
21日に横浜市内で行った公開練習で、軽快なやりとりがあった。
闘う種目は異なるが、ともに軽量級で昨夏の花の都ではともに世界一を極めた。マット上でも、私生活でも「張り合っていますね」と文田はそう笑顔で話し続ける。
「もうずっと『こんな一緒なことある?』ってぐらい。本当にいろんなことを隠さず話し合えるし、情報交換もレスリングとかだけじゃなく、私生活でも父親としてもそうだし、お互いがアドバイスし合ったりとかもできている。『いやー、助かるなー』って。『脳みそ2つあるなー』って感覚ですね」
それに対し、「あっちは張り合っている気かもしれないですけど、僕は勝っていると思ってやっている」とは樋口。そう冗談を交えながら、「すごい子どもたちの前で『いいお父さんなんだろうな』って。文田選手の子どもを見ていて感じるので、実際ちょっとお手本にしてます」と明かす。
3年後、同い年の2人の次女が見るのは、ロサンゼルス五輪2連覇を目指す「無敵のヒーロー」の背中かもしれない。
文田は18日開幕の天皇杯全日本選手権で非五輪種目のグレコローマンスタイル63キロ級で復帰戦に臨む。当日は家族も観戦予定だ。3歳になる長女もようやく競技に興味を持ち出したといい、「かっこいいパパを見せたい」と意気込む。
ロスを最後に現役引退を表明している樋口も来年5月予定の明治杯全日本選抜選手権に向けて調整を重ねている。一足早く復帰する文田とは「家族ぐるみの付き合いをしていきたい」と言う。
昨年、花の都で快進撃を見せた日本レスリングの同志、そして一家の大黒柱として-。ここからまた高め合って、太平洋を渡った先にあるロスの金をつかみに行く。【泉光太郎】