◆明治安田J1リーグ▽第37節 東京V0―1鹿島(30日・味スタ) 10試合が行われ、鹿島は途中出場のMF松村優太(24…
◆明治安田J1リーグ▽第37節 東京V0―1鹿島(30日・味スタ)
10試合が行われ、鹿島は途中出場のMF松村優太(24)のゴールを守り抜き、1位の座を明け渡さなかった。優勝争いは6日の最終節までもつれ込むことになり、11年以来2度目の頂点を目指す柏は史上5例目となる最終節での逆転V、鹿島は9年ぶり9度目制覇を狙う。最終節で鹿島は横浜M、柏は町田をホームに迎える。
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勝利への、優勝への執念が実った。0―0で迎えた後半29分。鹿島FWレオセアラのシュートは相手GKに防がれたが、そのボールは空中に高く跳ねた。いち早く反応したのは、鹿島のスピードスター・松村。左足を懸命に伸ばし、倒れ込みながらネットを揺らした。
「腕がちぎれようが、肉離れしようが、足を伸ばそうと思っていたので」。同時刻に試合を行う柏の大量得点により、一時的に“首位陥落”となっていた鹿島を再浮上させる、値千金の勝ち越し点となった。
V逸期間の長期化もあり、J最多20冠を支えた「鹿島らしさ」という言葉が、どこか曖昧なものになっていた。開幕前、今季就任の鬼木達監督(51)は選手全員を前に「鹿島らしさって何だと思う?」と尋ねた。
さまざまな意見に耳を傾け、うなずいた上で、1993~99年まで鹿島に在籍した指揮官は「俺は『強さ』だと思ってる」と説いた。「強さ」という概念も幅広いが、鬼木監督は全てにおいて「強さ」を求めた。球際の強さ、メンタルの強さ、目標への思いの強さ、選手同士の絆の強さ。自身が現役時代に肌で感じた「鹿島らしさ」の体現を求め、全ての「強さ」を集結させたチームを目指した。
この日も終始、東京Vペースで進んだが、最終スコアは1―0。局面で体を張り、逆境に屈せず、結局は勝つ「鹿島らしさ」を存分に発揮した。勝てば優勝、引き分け以下で陥落の可能性もある最終節の相手は、この日、4連勝を決めた横浜M。難敵との対戦に鈴木は「勝つだけ。わかりやすい」とキッパリ。悲願の9季ぶり頂点まで、あと1勝だ。(岡島 智哉)